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競争力を高められないまま、何とか食いつないできた「ゾンビ企業」の淘汰が始まった。レナウンは代表例で、新型コロナウイルスが新陳代謝という時計の針を速めている。経営破綻やそのリスクの高まりが、これから再編が起こっていく大きなきっかけになる。

 「アーノルドパーマータイムレス、定価より50%オフ」。新型コロナの感染拡大後、上場企業で初となる民事再生法の適用を5月15日に申請したアパレル大手レナウン。百貨店など全国の売り場で投げ売りを始めた。主力としてきたアクアスキュータムやダーバンも含め、ほぼすべての商品が半額だ。

アクアスキュータムなど各種ブランド品の半額セールで現金を捻出している

 実際に適用を申請したのは、保険・不動産を手掛ける連結子会社、レナウンエージェンシーだ。同社へのわずか8700万円の返済資金を、レナウンが調達できなかったという理由になっている。レナウンは業績不振に加え、親会社である中国の山東如意科技集団のグループ会社への巨額の売掛金が回収できないことなどで、手元に現金がまったくなかった。投げ売りは、給与の支払いもままならないなかで、現金を捻出するための苦肉の策だ。

 レナウンはすでに、社員に給与の4割カットを通達した。コスト削減のため、店頭では備品の発注が禁止され、テナントとして入居している百貨店の紙袋などを転用している。

 「スポンサーが見つかって黒字回復すれば、カットした給料は還付されるというニュアンスの説明を受けたが……」。関西の百貨店内の売り場に勤めている20代の販売員は不安げだ。

 突然、そして一気に新型コロナは襲ってきた。環境が変化しても経営をなかなか変えられず、財務の備えも怠っていた企業は、手を打つ間もなく破綻に追い込まれる。海外では、豪航空2位のヴァージン・オーストラリアや中南米航空最大手のLATAM航空グループ、米高級百貨店のニーマン・マーカスや米JCペニー、そして米Jクルーのような有名衣料品チェーンが相次いで破綻した。

(写真=上:ロイター/アフロ、下:AFP/アフロ)

 日本企業もこうした流れと決して無縁ではいられないだろう。「日本にはつぶれそうなゾンビ企業がうようよしている」(外資系証券の首脳)からだ。ゾンビ企業という言葉には、甘い経営に加え、低金利であふれるマネーによって生き永らえていたという側面も含まれている。

日経ビジネス2020年6月15日号 26~29ページより