国立大法人化は失敗 公的支出が足りない
元東京大学総長、元文部大臣、元理化学研究所理事長
有馬朗人氏
私が文部大臣のときに方向性を決めたのが、国立大学の法人化だった。法人化を決めたのは、大学の自主性が生まれるなどの効果が見込めたためだが、実際は、運営費交付金が毎年減らされ、若手研究者の大幅な削減につながってしまった。私はこうした事態になることを読み切ることができなかった。それは失敗だった。

今やるべき最大の仕事は、運営費交付金を増やす、少なくとも元の水準に戻すことだろう。OECD諸国と比べても、日本はGDPに対する高等教育への公的支出の割合は低い。
なぜ、日本はこれほど高等教育への支出が少ないのか。こうしたことを東大出身の財務官僚に話すと「先生、またお金の話ですか」などと言われる。政府は、教育熱心な親がいることを前提に、(資金源としての)親を頼りにしているのかもしれないが、それでは不十分だ。
公的教育への支出を増やして、日本を何とか世界並みのレベルにしなければならないと思う。(談)
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