失業率は約4%になる可能性も

 4月16日、緊急事態宣言の対象が全国に広がり、経済へのさらなる打撃は確実だ。IMFは日本の20年の経済成長率をマイナス5.2%と予測。リーマン・ショック翌年の09年がマイナス5.4%だからインパクトはほぼ匹敵する。

 第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、「失業率はワーストケースで21年第1四半期までに4%程度まで上昇する可能性がある」と試算する。コロナ・ショック直前の失業率は約2.5%だったため失業率自体はリーマン・ショック時ほどにはならなそうだ。しかし、悪化度合いは同等かそれ以上になる可能性があり、ほぼ完全雇用だった時代は終わる。

リーマン・ショック以来の雇用危機に
●失業率の推移(実績)と新型コロナウイルスによる影響(予測)
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(写真=2点:AP/アフロ)
出所:失業率は、2019年まで実績値(総務省労働力調査)。20年以降は、第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストの試算を基に作成。実質経済成長率が20年度がマイナス4.5%、21年度がマイナス3.1%と、リーマン・ショック並みに落ち込むとの想定で、失業率を試算した
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 トヨタ宮田工場から約40km離れた日産自動車九州の工場(福岡県苅田町)。男性従業員が新型コロナに感染し3月末に生産ラインを止めて消毒作業をした。日産も国内の他の工場とともに期間工の新規募集を停止。雇用クライシスはここでも目前だ。

 会社の異変に気づいた現場の従業員には無力感が漂い始めている。30代の期間工は、数週間前から募集の説明会が開かれなくなったと知った。「自分は採用されたからラッキーだったが、今後も働き続けられるのか」と心配する。

 周辺の下請けメーカーでは、ハローワークに提出した求人募集を取り下げる動きが出ている。求人募集の取り下げは、トヨタ自動車北海道のお膝元である苫小牧市周辺の下請け企業でも起きているなど、各地に広がっている。

 全国のユニオンには派遣社員などからの相談が増加。ユニオンみえ(三重県津市)には4月上旬、自動車の下請け会社で働いていた派遣社員から、「休むように言われたがその間の給与補償について説明がなく不安だ」といった相談がひっきりなしに寄せられた。休業補償は「派遣先から6割が支払われている」(大手人材派遣会社)という場合もあるが、一部では「派遣先と交渉中」(中堅人材派遣会社)で対応が遅れている。

 製造業向け人材派遣大手、UTエイムの筑井信行社長は、「自動車業界は既に受け入れている人材を削減する事態にはまだなっていない。ただ、工場休止が長期化すればバッドシナリオとして2~3割減産となりかねず、人員計画も見直すことになるだろう」と話す。

 ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹氏は「今後3カ月ほどで新型ウイルスの封じ込めが成功すれば長期的には新車需要は回復する」とみる。それでも需要が前年比15%減ほどになるのは避けられないと予測する。

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