創業から23年、楽天は積極的な買収で事業領域を拡大し、祖業であるECを中心に銀行・証券、信販などのフィンテック事業やモバイルなど多くの事業を抱えるコングロマリット(複合企業)へと進化を遂げた。

 2019年12月期のグローバル流通総額は前の期比24.3%増の19兆円と堅調だ。連結最終損益(国際会計基準)こそ、ライドシェア大手の米リフトの評価損計上やモバイル事業の投資がかさんだことで8年ぶりの赤字に転落したが、売上高に相当する売上収益は前の期比14.7%増の1兆2613億円と伸びている。

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 最も営業利益を生み出す事業はECを核としたインターネットサービス事業の907億円だが、物流への投資が負担となり前の期(1077億円)比15.8%減少した。

 対照的に伸びているのがフィンテック事業だ。同事業の営業利益は同2.1%増の693億円と伸びている。けん引するのはカード事業だ。楽天カードは会員数が約1900万で、カード事業の営業利益は同20.9%増の326億円となった。

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 ただ、企業価値を示す時価総額は成長とはかけ離れた動きを示す。15年に一時3兆円を超えたものの、その後はじりじりと下がって今年の3月中旬には1兆円を割り込む時期もあった。多くの事業を抱えて全体像が見えにくい銘柄の株価が割安になる「コングロマリット・ディスカウント」にもなっているが、理由はそれだけではない。

 「モバイル事業は赤字が大きく、今期と来期は連結でも営業赤字に陥る可能性がある」(SMBC日興証券の金森都氏)と、楽天モバイルへの投資が負担となって短期的には収益拡大が見えにくい。積極的な買収が、グループ全体の成長につながっているかどうかが見えない点も市場での評価が下がる理由のようだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大でネット通販事業は利用の増加が見込める半面、今後はモバイル事業や物流事業への投資がかさむ。先行投資が収益改善に貢献するシナリオを示すことが、市場の低い評価を覆す条件となる。