携帯電話事業に本格参入を果たした楽天。その内側では、キーパーソンの流出や楽天市場出店者の離反など混乱が目立っている。

4月8日、国内4番目の携帯電話会社として正式サービスを始めたインターネット通販大手の楽天。携帯電話事業を「第2の創業」とぶち上げている三木谷浩史会長兼社長は3月、「衝撃的なプラン」と自画自賛しながら「Rakuten UN-LIMIT(楽天アンリミット)」を発表した。
データ通信がほぼ使い放題で月額2980円(税別)と、携帯大手の同様プランの半額程度に収まる。しかも当初1年間は最大300万人の月額料金を無料にする大盤振る舞い。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの寡占に風穴が開き、通信料の高止まりも崩れていくのではないか──。
そんな消費者の期待を追い風に鳴り物入りで参入したはずの同社だが、サービス開始前の段階では「3月時点の契約申込件数は数十万の下の方と聞いた。想定ほど伸びておらず上層部が焦っている」(楽天幹部)。8日には三木谷会長が自らのツイッターで、自社回線以外での高速通信の容量の引き上げなどを表明。いきなり総力戦の構えだ。
サービス開始日の前日に緊急事態宣言が発令され、楽天モバイルの店舗は臨時休業したまま。新型コロナウイルスの感染拡大という不幸が重なった側面もあるが、それだけではなさそうだ。楽天内部でも混乱が起こっている。
楽天の常務執行役員と、携帯事業会社楽天モバイルの代表取締役副社長という要職を務めていた徳永順二氏。3月31日付で楽天を退職し、4月1日付で建設業界向けに金融分析プラットフォームを提供するランドデータバンク(東京・港)の社長に就任したのだ。
徳永氏は以前はソフトバンクに所属していた。監督官庁である総務省との折衝を担う渉外部門で活躍したエースだ。40代で常務まで務めたが、2017年7月末に突如退社し周囲を驚かせた。
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