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明治は特許部を「格上げ」

 食品大手の明治も、特許を中心とした自社技術の棚卸しに取り組んでいる。19年4月、技術の掘り起こしに向けて特許部を知財戦略部に改組し、研究所と並ぶ位置に「格上げ」した。知財戦略部には特許分析を担う人材だけでなく、社内の頭脳といえる経営企画からもメンバーを集めている。

明治の知財戦略部長の坂元孝至氏。社内に蓄積した知財を徹底的に分析。新商品の開発や、既存商品を改良する手掛かりとなる情報を提供する

 坂元孝至知財戦略部長は「社内の埋もれた技術を生かすには、その技術の本当の価値を一歩引いた視点で解析するスキルが問われる。この技術をこう発展させられるのではないか、こういうルートの開発が進められるのではないかと常に考えるには、専門部隊が欠かせない」と話す。

 既に、保有する約800の特許のスクリーニング作業もスタートしている。その結果、自社が近年、出願した特許の一つを活用することで、同じ原料を使いながら、それまでにない製品につながる可能性があると突き止めた。

 詳細は公表できないとしているが、製造工程を大幅に改善できる可能性が高いとして経営陣の目に留まった。松田克也社長が年に1回開く技術ミーティングで1つか2つしか選ばないメインテーマとして採用され、実用化に向けて研究開発を急いでいる。

 特許庁によると日本企業が持つ有効な特許数は約166万件だが、半分が休眠状態だという。大企業の技術はいったんお蔵入りになると活用されないことが多い。まずはそんなお宝技術を徹底的に探してみる。それが革新の種探しの第一歩となる。

日経ビジネス2020年4月6日号 28~33ページより