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味の素が構造改革を進めている。非重点事業の縮小・撤退を掲げる一方、管理職を削減。サプライチェーンや研究開発でデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む。国内有数の食品メーカーがデジタル化を軸に変われるのかを聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

西井 孝明[にしい・たかあき]氏
1959年生まれ、奈良県出身。82年同志社大学文学部卒業、味の素入社。2004年味の素冷凍食品・家庭用事業部長、09年味の素人事部長などを経て、13年にブラジル味の素社長。15年から味の素社長。働き方改革やアセットライト経営の推進など、構造改革を進める。

昨年11月、50歳以上の管理職の1割に当たる100人の希望退職募集を発表しました。業績が厳しいわけではない中、なぜこのタイミングなのでしょうか。

 色々な観点で構造改革をしなければいけなくなり、マネジメントでは、なくなる仕事が出てきます。構造改革を進める3年間、そうなるということをちゃんとメッセージとして伝えたかった。そこから再成長に転じる会社のプランがあって、個人のキャリア形成という観点も踏まえ、社員に実態を知ってもらうべきだと考えました。こういう仕事がなくなるけど、自分たちのキャリアを考えてもらう機会にしよう、と。

 管理職の得意分野と、会社がこれから伸びていこうとする分野が合致しなくなっているというのも理由です。今の50代の管理職は国内の多角化を進めていた頃の入社で、日本でのビジネスに向いている人が多い。でも今、味の素がやろうとしているのはデジタルの活用や、海外事業の深掘り、健康を軸とした価値創造です。今後は登用の仕方も経験ではなく能力に基づいたものになるかもしれない。こうした説明をしたうえで、今後のキャリアを考えてもらいました。想定していた100人に近いくらいのメンバーが手を挙げてくれることになると思います。

定期的なものではなく、今回限りになるのですか。

 定期的なものではありません。セカンドキャリア研修はずっとしてきました。国家資格を持つ外部のキャリアプランナーに相談でき、一定の年齢になると会社に籍を置きながら再就職活動ができる制度になっています。これまでも年間30人ぐらいが転職している。今回はそれを100人に増やしました。

日経ビジネス2020年3月30日号 44~47ページより