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推進部門をつくっても、トップにその覚悟と戦略がなければDXは実現しない。どうすれば、デジタル技術を駆使して企業の競争力を高められるのか。本気でDXに取り組む企業の事例から失敗しないDXのコツを探ってみた。

日本のモノづくりを支える安川電機。デジタル化は急務だ

 PART1で見たように、DXを成功させる第一歩は、明確なビジョンを持つことだ。経営トップが将来のあるべき姿を提示し、その実現に向けてデジタル技術を活用する。産業用ロボット大手の安川電機はまさにそうしたやり方でDXに取り組んでいる。

 まず、特筆すべきは、小笠原浩社長自らがDX推進の最前線に立っていることだ。2018年3月には「ICT戦略推進室」を設置、室長に就いた。

 単に旗を振るだけではない。デジタルにかかわる人事は社長が直接決め、現場レベルでも毎月1回開く会議で進捗状況の確認などをしている。ここまで熱を入れられるのは小笠原社長自身、エンジニア出身で技術開発本部長を経験し、デジタル分野に明るいから。しかも約15年前から社内で行き交う様々なデータを活用して収益力を高める道を探ってきた。

 安川電機の英語表記の頭文字のYを取って、20年を「YDX元年」と位置付ける同社。今、取り組むのは、生産や販売、品質など各部門ごとに管理されているデータの一元化だ。

 例えば、データを分類する際には「製品」「取引先」「勘定科目」「組織」などを指し示す「コード」と呼ぶ記号があるが、これまではたとえ同じ勘定科目を指していても、部門ごとにコードは違うことが多かった。これでは異なる部門同士でデータをやり取りするのに手間がかかる。

日経ビジネス2020年3月30日号 34~41ページより