デジタル化や価値観の多様化で、求められるリーダー像は変容した。これから求められるリーダーとは、どんな人材なのか。世代間ギャップや文化の壁を越える、しなやかなリーダー像が浮かび上がってきた。

(写真=metamorworks/Getty Images)

 そもそも次世代を担う若手社員たちは、リーダーとして組織の上に立つことをどう思っているのだろうか。

10年間で“トップリーダーを目指さない若者”が増加
●新入社員アンケート「どのポストまで昇進したいか」
出所:日本生産性本部・日本経済青年協議会「新入社員働くことの意識調査」

 2019年6月、日本生産性本部などが発表した「平成31年度新入社員働くことの意識調査」。約1800人の新入社員男女に会社で最終的に「どのポストまで昇進したいか」聞いたところ、「社長」と回答した人は12.6%。20年前の1999年度調査の19%から大きく減少した(左のグラフ)。

 その一方で、重役、部長、課長と回答した人は軒並み増加。重責を担うトップリーダーになるよりも、「ほどほどの出世で構わない」という、いわば“適温志向”がのぞく。99年度調査では群を抜いていた専門職(スペシャリスト)を選ぶ人も大きく減った。

 バブル崩壊の後遺症が深刻化した2000年前後は、いわゆる就職超氷河期。その悲哀を味わった「ロストジェネレーション(失われた世代)」は組織の中でリーダーとして勝ち上がるか、手に職をつけて市場価値を高めるか、自分なりの生き残り戦略を模索していた。

 一方、現在の若手社員は、人手不足が慢性化し、売り手優位になった労働市場しか経験していない。さらに仕事を通じて自己実現をするよりも、自分らしい生き方やプライベートを重視する人も増えている。「矢面に立ったり、苦労を買ったりしてまでトップリーダーになりたいと考える若手が減るのも無理はない」(人事コンサルタント)

「課長」は高根の花

 しかし、「『部課長止まりでいい』と考える若手社員は、認識が甘いと言わざるを得ない」と『はじめての課長の教科書』の著者の酒井穣氏はくぎを刺す。

 企業が拡大を続けていた日本経済の成長期には、社内の部署や子会社などが増え、新しいポストが生まれたが、事業の選択と集中が進む今は組織がスリム化され、昇進できるポストは減った。「課長になれるのは10人に1人。しかも、リーダーとしての高い能力が求められるようになっている」(酒井氏)

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