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半数が慢性赤字 安直な起業は危険

 大手メーカーを退職した60代男性が銀行から融資を受け、飲食店を開業したが、思うように利益が出ず、借金で首が回らなくなった。ファッション好きが高じて転売ビジネスを始めたものの、経費を考慮に入れない放漫経営で赤字から抜け出せなかった……。こんなシニア起業の失敗談は山ほどある。

「シニア起業」もリスクと隣り合わせだ
注:日本政策金融公庫総合研究所 新規開業白書2019年版から

 日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業白書」(19年版)によると、全国の起業家1600人から回答を得た「現在の採算状況」については60歳以上の経営者の55.6%が「赤字基調」と回答。40代の中堅(40.8%)や、39歳以下の若手(27.0%)に比べ、「シニア起業」の成功率が明らかに低いことが見て取れる。

 「そばが好きだからそば屋をやってみようといった安直な考えでの起業が多い」と指摘するのは、シニアキャリアのコンサルティングを手掛ける木村勝氏。シニアの起業支援などを手掛けるストラーダ税理士法人の塚田拓也氏は「やる気先行でスキルが不足しているシニア起業家は事業継続が難しい。財務知識などがないまま『サラリーマン感覚』で起業することは危険だ」と話す。