全4420文字

電機を中心に変革の先駆者たちはどう成功に導いたのか。アプローチそのものはパナソニックと大きく変わらない。違いは継続性の有無だ。経営陣には過去の負の歴史を断ち切る覚悟が問われる。

ナデラ改革で再びトップへ
●マイクロソフトとアップルの時価総額推移
米マイクロソフトを改革したサティア・ナデラ氏。時価総額では米アップルに肉薄する(写真=AP/アフロ)

 「彼のおかげでウィンドウズ中心主義のアプローチから離れることができた」。米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏がこう称賛する人物がいる。サティア・ナデラ氏。同社のCEO(最高経営責任者)を務める。

 2014年、前任のスティーブ・バルマー氏から引き継ぎ、マイクロソフトの3代目CEOに就任。ウィンドウズというOS(基本ソフト)を売り切るビジネスと決別し、クラウドを軸にサービスでもうける企業へ、「ウィンドウズ帝国」を変革させた。

 ナデラCEOはインド出身。その経営スタイルは、国民的スポーツであるクリケットから学んだと自伝『Hit Refresh』で振り返っている。「これまでのやり方でビジネスを行うのではなく、企業の文化に重点を置き、そこから何ができるかを考える」というスタイルだ。

 マイクロソフトの変革は、まさにこの経営スタイルに沿って断行された。トップダウンで「クラウドシフト」という成長戦略を掲げるだけでなく、新たに「グロースマインドセット(成長思考)」と呼ぶ企業文化の醸成に時間とお金を投じた。部下の自発的な考えをどう引き出すかを意識させるために、プロによる管理職へのコーチングを繰り返し、文化そのものを変えていった。

 今年2月で就任丸6年を迎えるナデラCEO。19年6月期の連結純利益は前の期比約2.4倍の392億4000万ドルで過去最高を更新した。株式時価総額は1兆2000億ドル(約130兆円)を超え、同時期に創業された米アップルに肉薄する水準にまで復活した。

日経ビジネス2020年1月27日号 42~45ページより