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社長交代の「不文律」といわれる6年を超え、続投すれば、9年目の長期政権となる。だが、プラズマテレビ事業からの撤退といった構造改革は足元で息切れ感が漂う。従業員数27万人の巨大企業をどう変えていくのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=今 紀之)
PROFILE

津賀 一宏氏[つが・かずひろ]氏
1956年大阪府生まれ。79年大阪大学基礎工学部生物工学科卒業、松下電器産業(現パナソニック)入社。86年、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校コンピューターサイエンス学科修士課程修了。2001年にマルチメディア開発センター所長。04年に役員、08年に常務役員兼オートモーティブシステムズ社社長、11年に専務役員兼AVCネットワークス社社長。12年6月から現職。趣味はドライブやゴルフ。63歳。

2020年3月期は減収減益の見通しです。これからやろうとしていること、あるいはこれまで改革を進めてきた中で、20年3月期決算をどう位置付けますか。

 我々が目指してきた、売り上げを伸ばし、営業利益率で5%を出すという視点においては、売りもなかなか追えていないですし、利益率も5%に足りない状況です。不本意な数字であるというのは間違いないでしょう。

 要因の一つに米中貿易摩擦があります。利益率の高い中国関係のビジネスがダメージを受けています。かなりの部分が一時的なものであるとは理解していますが、一方でいつこれが元に近い形に戻るかは分からない。不本意な数字の8割はこうした外部要因にあると我々は思っています。

 残りは内的要因です。特に車載事業では相当頑張って事業の拡大を目指してきましたが、足元では開発費の増加や、米テスラ向け電池ビジネスのオペレーション力の不足などの影響で赤字になっています。ただし、テスラ向けは来期は黒字転換するめどが立ちつつあります。利益面で厳しくなっている角型電池はトヨタ自動車さんとの協業の立ち上げフェーズに入っており、年を追うごとに収益は改善します。内的要因については原因がかなり見えている。その意味では心配していません。

日経ビジネス2020年1月27日号 28~31ページより