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ベンチャー投資が過熱し、世界でユニコーンが続々誕生──。そんな投資バブルは終焉を迎えようとしている。短期の急成長銘柄が幻となった今、投資家の視線は社会が抱えるひずみを解消するビジネスへと移りつつある。

ベンチャー投資マネーの膨張にブレーキ
●世界のベンチャー投資額の推移
「ウィーワークショック」は世界のVC投資の抑制につながった 出所:KPMG(写真=Motoo Naka/アフロ)

 「12月末でAzitを退職します」

 2019年12月、スマートフォンでドライバーと乗客をマッチングする配車サービス「CREW(クルー)」を展開するAzit(東京・渋谷)の複数の社員が、退職を相次いでツイッターで報告。スタートアップ界隈で話題となった。

 同社は著名なエンジェル投資家も多く出資する注目のベンチャー企業だ。12月に退職する複数の社員に話を聞くと、年末をもって社員の半分以上に当たる約30人が退職することになったという。

 Azitが展開している配車サービスは、米ウーバーテクノロジーズがけん引し世界を席巻している。だが、日本ではタクシー向けの「第二種免許」を持たないドライバーがタクシー業務を行うと「白タク行為」となり法に触れる。クルーは降車後に利用者が一定でない金額を謝礼として支払う仕組みを考案。15年に経済産業省が主催する次世代経営者を育成するプロジェクト「始動」で立案し、事業化した。

 18年9月には外資系ベンチャーキャピタル(VC)を中心に10億円の資金調達に成功。優秀な技術者などを確保し、1年前には10人程度だった社員数が50人を超えるまで成長した。退職した元社員は「資金調達がうまくまとまらなかったようだ」と唇をかむ。