世界は分断の時代へ向かい、2019年から積み残した難題は解決が難しい。そんな20年の国際情勢だが、暗い話ばかりではない。例えば、人類の命運を一変させる可能性がある産業がいよいよ離陸するのも20年だ。


 日本ではまだ「近未来感」も残る宇宙産業だが、20年、世界では新たな動きが始まる。比較的地球に近い場所に打ち上げた人工衛星を活用し、インターネットの超高速通信を可能にする技術の実用化だ。

世界中で高速通信が可能になる
●人工衛星ブロードバンドの仕組み
(写真=AP/アフロ)

 「スターリンク」と呼ばれる新システムを主導する米ロケット打ち上げ会社スペースXなどによると、20年中に北米で運用が始まる。シリコンバレーを拠点にスタートアップ投資を展開するペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマンCEO(最高経営責任者)は「世界の人々の生活を変える可能性を秘めている。今、最も注目すべき領域だ」と強調する。

 高速通信では新規格「5G」が話題だが、これはあくまでも各国内や地域内での仕組み。例えば、日本から米国に送るメールは太平洋を渡る際、海底に敷設してある光ファイバーのケーブルを伝って通信される。抵抗によって伝達ロスが発生するため、情報にタイムラグが出るのは否めない。

 真空である宇宙空間を使えば、伝達スピードは純粋な「光速」に近づく。その準備は着々と進められている。

 スペースXは、「既に国際電気通信連合から許可を得て、主要な通信バンドを確保した」(ウッザマン氏)。19年にはスターリンク向けの人工衛星を50基以上、宇宙空間に投入し将来は1万2千基を目指す。

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