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 2020年以降は、「仕事」に対する人々の評価も変わる可能性がある。例えば、産業構造の変化に伴い「かつての花形職業」が輝きを失う可能性が少なくない。圧倒的な地方の人気職業「地方銀行マン」はその代表格だ。


(写真=PIXTA)

 「申し訳ありませんが、追加出資のお話はお断りします」

 西日本のある地銀に勤める30代男性は今秋、出資先のスタートアップ企業から想定外の言葉を告げられ、その場に立ち尽くした。

 地域産業支援事業の一環で出資した地元有数のIT系スタートアップ。さらなる成長を支えようと追加出資を打診したところ、あっさり「辞退」されてしまったのだ。資金は、地銀ではない別の出資者から調達するという。「一昔前には到底考えられない話」。思わぬ返事をもらった地銀マンはこうため息をつく。

 都市部のVC(ベンチャーキャピタル)などが事業の有望性にほれ込んで出資する中で、地元企業の成長に期待して出資を決意した。その後に経営相談に乗るだけでなく、地元の有力者や融資先などの企業経営者が集う懇親会にも定期的に招待して人脈形成までサポートしてきたつもりだった。

 なぜ出資は不要との烙印(らくいん)を押されたのか。スタートアップ企業の経営者に聞くとこんな答えが返ってきた。「地銀は役に立たないから」──。

 20年以降は、産業構造の転換や技術革新に伴って、人気職業ランキングも異変が起きる可能性がある。とりわけ考えられるのが、かつての花形職業が輝きを失うこと。これまで地域経済を支える要として地元の尊敬を集めてきた「地方銀行員」もその中に含まれる公算が大きい。

 地銀の何がどう役に立たないのか。冒頭のスタートアップ企業の経営者の言葉は辛辣だ。

 「経営相談でもIT知識がほとんどない。懇親会に参加しても役に立つネットワークを構築できなかった。正直お節介で時間の無駄」。自社の成長に役立つ知識やネットワークを持つ投資家ではない、との判断だ。

 こうした地銀の地盤沈下は20年以降、全国各地に広がる可能性がある。