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 教育劣化の直撃を受けている日本の大学。だが2020年、大学関係者の頭を悩ませるのは学生の質の低下だけではなさそうだ。むしろ懸案は就職活動の早期化。「大学=勉強の場」というのは過去の話になりかねない。


「内定辞退率」の問題を受け、記者会見で謝罪するリクルートキャリアの小林大三社長(左)ら

 19年の就職活動を揺るがした「リクナビ事件」。就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が、サイトに登録した就職活動中の学生の「内定辞退率」をAI(人工知能)で予測し、企業に提供していたことが8月に発覚した。

 同社は18年以降、学生がサイト内でチェックした企業の閲覧履歴情報などを収集。AIを活用しその学生が内定辞退する確率を算出し、学生本人にも十分な説明のないまま有償で30社以上に提供していた。政府の個人情報保護委員会は12月、サービスを利用した企業にも行政指導。その中にはトヨタ自動車や三菱商事などの大手も並ぶ。

 どの企業もこぞって辞退率を欲しがるのはより確実かつ効率的に、有能な人材を確保したいと考えているから。「どんなに優秀な学生でも最終的に他社に行ってしまえば、採用コストは無駄になる。ならば最初から内定辞退率の低い学生を狙った方がいい」。多くの企業がそう考えていると言える。

 少子高齢化に伴う人材不足で売り手市場が続く中で進む「採用活動の無法化」。20年はそんな傾向が一段と強まる可能性が高い。

 そのきっかけの一つが、経団連が主導していた面接解禁日程などの「縛り」の消滅だ。21年卒については、経団連に代わり政府が今のルールをひとまず維持するが、既に採用現場は「無法地帯」の様相を呈している。

 具体的に起きているのが、「就活の早期化」だ。中でも、インターンシップ(インターン)には、「もはや『インターン(職業体験)』なのか、選考なのかが分からない。ベンチャーだけでなく大手も選考の色が強いようだ」(私大3年男子学生)との声が上がる。

 マイナビが秋に実施した調査では、学生の93.8%が平均5.9社のインターンに応募経験があると回答。参加後には23.1%がインターン参加者限定の採用選考の案内を受けたという。