全1946文字
 不動産にせよ日本経済にせよ、2020年に向けて多くの関係者が注目する「五輪後」。だが、専門家の間では「その五輪自体、成功するかは不透明」との声も上がる。20年前半は「五輪準備パニック列島」になりかねない。

 20年最大のイベントといえば、7月 から9月にかけて開催される東京五輪・パラリンピックだ。世界が注目するイベントを成功させることは、「宴の後」の活力を持続させる上でも重要だが、課題は山積している。

一筋縄でいかぬ 「天候リスク」

 五輪の試金石となったのが、「前哨戦」と位置付けられるラグビーワールドカップ(以下、W杯)だ。興行的には成功を収めた一方で、様々な課題も浮き彫りになった。

ラグビーW杯では、セキュリティーチェックで入場ゲートが大混雑。五輪での課題が明らかになった

 その代表格は、天候リスクだ。実際、台風19号の影響で3試合が中止になった。試合中止は1987年の第1回大会以来初めてで、大会運営を巡り混乱。荒天の場合の試合中止が規約で決まっていたにもかかわらず、主催団体のワールドラグビーが大会組織委員会に「会場変更で対応できないか」と強く要請してきた。「対応を巡り関係者で激論を交わした。使える会場は他にあったが、選手や観客の安全を確保できる確証がなかったため、原則を貫いた」。こう話すのは、組織委の内田南企画局長。ラグビーW杯以上の注目を集める五輪だけに、異常気象への対応に振り回される可能性は高い。

 盛夏に開催される五輪では、酷暑による熱中症のリスクが高い。本来なら、スポンサー企業の飲料を販売する五輪に飲み物を持ち込むのは厳禁。だが、五輪組織委は11月、ノンアルコール飲料であれば750ミリリットルまで持ち込みを認める「異例の対応」を発表した。都内では五輪期間中に多数の熱中症患者が発生すると予想されており、医療関係者からは「救急医療が追い付くかどうか」と不安の声が上がる。

 セキュリティー面でも課題が明らかになった。W杯ではテロ対策として、目視による手荷物検査と金属探知機によるボディーチェックを実施。一人ひとりに時間を要するため入場ゲート周辺は過密状態になった。混雑が続けば、 将棋倒しのような雑踏事故や群衆を狙ったテロも誘発しかねない。不測の事態を防ぐための対策が、逆に不測の事態を呼び込みかねないという、「大規模イベントならではのリスク」が浮き彫りになったと言える。