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「五輪」というカンフル剤が切れる2020年は、平穏な年で終わりそうにない。今までの潮流が随所で逆流し、先送りしてきた課題が一気に顕在化する恐れもある。20年の日本経済と、私たちの暮らしや仕事で起きる異変を展望する。

 “節目の年”を迎える上で、「これまでの潮流の逆回転」がまず懸念されるのは国内不動産市場だ。既に、人気を集めてきた新興エリアの価格が相次いで天井のシグナルを点灯させ始めた。2020年の「不動産下克上」を展望する。
日銀の金融緩和が下支えし、首都圏のタワマン建設ラッシュは進んだが……(写真は黒田東彦日銀総裁と東京五輪選手村)(写真=黒田氏:EPA=時事、五輪選手村:共同通信)

 買うか、待つか──。東京都八王子市の会社員、山本真一氏(仮名、36)は19年秋、決断を迫られた。毎日の通勤は電車で片道1時間。「痛勤」にいよいよ限界を感じたため、共働きの妻と相談しながら23区内に引っ越そうと考えたのだ。

 勝どき、月島、豊洲……。夏以降、新築マンションに狙いを定め、人気の「湾岸エリア」の物件を見て回り、何度も成約しかけた。が、最終的に踏みとどまったのは、どこか腑に落ちないものがあったからだ。

 「もう少し待てば東京五輪が終わる。そうすればマンションの価格もきっと下がる」。こうして山本家は家の購入を先延ばしにすることにした。

25%下落した勝どきエリア

 20年の日本経済・社会の大転換を展望する上で、まず注目するのは不動産だ。12年の第2次安倍政権発足以降、おおむね上昇を続けてきた不動産価格に異変が生じ始めている。