定期的な「大ホームラン」

 戦後の焼け野原から立ち上がり、オリジナルな商品を連発して急成長を遂げたホンダは、ソニーとともにしばしば「イノベーション企業」の代表格に挙げられる。抜群の環境性能を持つCVCCエンジンを搭載した「シビック」、ミニバンの先駆けとなった「オデッセイ」、広い空間を実現した小型車「フィット」。ホンダは業界をしびれさせる数々の名車を生み出してきた。

 「事業が厳しくなるたびに、なぜか毎回、神風が吹く。ただ、それがホンダの実力かもしれない」。前職のシンクタンク時代からホンダ研究を続けている入山章栄・早稲田大学ビジネススクール教授はそう指摘する。決して統率が取れているとは言えないが、定期的に放たれる「大ホームラン」の魅力。「組織としてはぐちゃぐちゃだが、根っこにあるベンチャースピリットが猛烈な底力を生んできた」(入山氏)

 ベンチャースピリットの実現に不可欠なのは粘り強さとスピード感だ。ホンダの有力OBがこんな述懐をする。「新型モデルを宗一郎氏に試乗してもらった時、一部の電装機器が正常に動かなかった。すぐさま『40分やるから原因を突き止めて説明しろ』と指示された」。調べるには内装品をばらして、部品をチェックする必要があったという。高い水準での挑戦が日常だった。

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この記事はシリーズ「跳べ!ホンダ 普通の会社にならないで」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。