「サムスンキラー」との競り合い

 「日本企業以上にものづくりに執着する」(国内の電機メーカー幹部)といわれるサムスン。半導体や有機ELパネルといった基幹部品を内製し、完成品の組み立ても自社中心という世界でも珍しくなった垂直統合モデルを今も続けている。しかし、中国勢に勝つため、ものづくりへの「こだわり」を捨ててまで今回の決断に踏み切った。あるサプライヤーは「サムスンは年間、数千万台規模のスマホを委託する想定で動いている」と明かす。

 もっとも、A10sのタイでの人気はいまひとつのようだ。「価格もスペックも断然vivoかOPPOだ」と販売員が話す通り、中国勢に太刀打ちできていない。

 「サムスンキラー」と言われるvivoの「Y11」は、メモリーや電池容量などのスペックでA10sを上回る。店舗でのY11の価格は3600バーツ前後とA10sの4000バーツ前後よりも安い。ODMの活用は、少なくともタイの販売の現場では競争力を高める結果につながっていない。

 サムスンにとって外部活用は不慣れな領域だけに悩みも深いようだ。サムスンと取引があるメーカーの幹部は「外部委託のオペレーションがうまくいかず、想定通りにはコストダウンが進んでいない」と内情を明かす。

 サムスン電子の18年通期の売上高は243.77兆ウォン(約22.7兆円)。スマホが中心のIT&モバイル部門は最も規模が大きく、全体の約4割を占める。中国勢の追い上げを受ける中でも、同部門の19年1~9月期の売上高は約82兆ウォンと、前年同期と比べて6%増えている。ただ、肝心の部門営業利益は22%減っている。

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