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年間売上高22兆円、ブランド価値調査で世界6位となった韓国サムスン電子。スマートフォンや薄型テレビで中国勢が足元を脅かし、その影は半導体にも忍び寄る。世界シェア1位品目を次々に生み出してきた最強電機の弱点が見え始めている。

中国の李克強首相がサムスン電子のフラッシュメモリー工場を訪問したのは、技術を吸収するうえでも、サムスンとの関係強化が欠かせないと判断したためと受け止められている(写真=五星紅旗:AFP/アフロ、李克強首相:代表撮影/ロイター/アフロ)

 中国陝西省、西安市にある韓国サムスン電子のメモリー半導体工場。10月14日に李克強首相が突如訪れたことが波紋を広げている。

 政府の広報サイト、中国政府網は現地での李氏の言葉を即座に伝えた。「中国市場は広大で、産業は中低レベルから中高レベルに入ろうとしている。サムスンを含む各国のハイテク企業が中国で投資をすることを歓迎する」

 フラッシュメモリーを手掛ける西安工場に、サムスンがこれまで投じた総額は100億ドル(約1兆900億円)を上回る。世界最先端の技術を使った量産の準備も急いでいる。その工場を首相が訪れ、自国の技術水準に言及したのだ。「中国が韓国の技術を取り込もうとしている表れ」(東海東京調査センター企業調査部の石野雅彦シニアアナリスト)、「技術移転の促進が本音だろう」(ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎上席研究員)との見方が広がった。

 サムスンにとって、野心を隠さない中国の動きは、自らがいつか来た道に見えているはずだ。日本で電機メーカーの技術者を引き抜き、素材や製造装置を調達して台頭したサムスンは、年間の売上高が日本円換算で22.7兆円、営業利益が5.5兆円と、トヨタ自動車よりも収益性の高いアジア最強の製造業に成長した。