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国内屈指のワイン研究拠点

山梨大学ワイン科学研究センターには、設立以来蓄えられた貴重なサンプルが貯蔵され、受講生の教育に役立てられている(右)。ボルドー大学など海外の名門から招いたゲスト講師の授業もある(左)

 このプログラムで教えるのは、ブドウ栽培、醸造、品質管理というワインの3大テーマに関する最新の知見だ。教育棟の中には試験管やシャーレの並ぶ実験室や、数十年もののワインが積まれた貯蔵庫もある。目まぐるしく進歩する発酵化学の知見と、歴史が培った貴重なサンプルの両方に触れられる環境を提供する。

 さらに、ワイナリー経営やワインのパッケージデザイン、ブランディングといった、技術者にはなじみの薄い分野も教える。各教科を担当するのは山梨大学の教授陣だけでなく、サントリー出身のベテラン技術者や、ボルドー大学など海外の研究者も含まれる。

 この国内有数のワインに関する教育システムは、サントリー、メルシャン(キリンホールディングス傘下)などが作る山梨県ワイン酒造組合が、山梨大学とともに運用している。

 「受講生はすでに会社でワインづくりを学んではいるが、最新のワイン研究に触れるのは初めてのケースが多い」と柳田氏は語る。特に大手ワイナリーは分業化が進んでおり、特定の分野には詳しくても、ワインづくりの全体を理解しきれていないケースも多いという。各企業が送り込んでくるのは、今後の活躍が期待される若手や、実力を身に付けてさらなる学びを求める中堅社員だ。