米フェイスブックが構想を明かしたデジタル通貨「リブラ」が大きな波紋を呼んでいる。各国政府や中央銀行からは警戒する声が相次ぎ、封じ込めようとする動きが広がる。それはお金の裏付けとなってきた「信用」を巡る暗闘でもある。

(写真=黒田氏・麻生氏:ロイター/アフロ、他6点:ユニフォトプレス)
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 「最高水準の規制を満たし、信頼されるものでなくてはならない」。7月中旬、フランス・シャンティイで開催された主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議。フランスのルメール経済・財務相は閉幕後の会見で、会議の議題の一つについてこう触れた。

 その対象は「リブラ(Libra)」。利用者数が世界で24億人にも及ぶSNSサービスを提供する米フェイスブックが6月18日に構想を発表したデジタル通貨だ。その潜在的な数を武器に独自の通貨圏を構築すれば、既存の法定通貨制度を揺るがしかねない。

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 同社が公表した資料によれば、リブラはブロックチェーン技術を基盤に用いた仮想通貨で、スマホアプリなどを通じて利用する。需給の変化によって激しい価格変動が起こりやすいビットコインのような仮想通貨と違い、ドルなど複数の通貨を価値の裏付けとしているため価格が安定しやすいとされる。投機の対象になってしまった従来の仮想通貨とは一線を画し、決済や送金に利用しやすくする考えだ。

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