破格の住宅ローン金利

 こうしたことから不動産向けの資金需要は旺盛だ。地元の金融機関は不動産関連融資を年々伸ばしている。琉球銀、沖縄銀、沖縄海邦銀を合計すると19年3月期に1兆2000億円規模となり、5年前に比べ1.6倍となった。不動産の急激な伸びで潤ってきたのが地元3行だった。

競争激化もあり金利は下落傾向
●沖縄3行の貸出約定平均金利の推移
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注:貸出金は沖縄の銀行、信用金庫の合計残高、18年は3月末 出所:日銀

 そこに進出してきたのが鹿児島銀だ。迎え撃つかたちとなった地元勢は、これまでの“寡占”体制が崩れることを懸念して警戒を強めている。

 「琉球侵攻」──。鹿児島銀の沖縄上陸によって、多くの沖縄県民の頭にデジャヴのようによぎるのが、こんな言葉だ。1600年代、島津忠恒・薩摩藩初代藩主が3000人規模の軍勢で、当時明国と主従関係にあった琉球王国(現・沖縄県)への侵攻を命じ、薩摩藩が支配した。さらに、薩長主導の明治政府の時には「琉球処分」で、琉球王国は解体された。

 こうした史実になぞらえるかのように、鹿児島銀の沖縄進出について関係者からは「現代版の琉球侵攻」との声も上がる。主に預金を元手とする鹿児島銀の総資産(単独)は4兆5800億円(2019年3月期)に上る。かたや琉球銀の総資産は2兆3500億円、沖縄銀は2兆2300億円、沖縄海邦銀は7200億円。鹿児島銀が圧倒している。

 規模のメリットを生かして経営にかかるコストを抑えられるので、沖縄の地元地銀よりも低金利での融資が可能になる。19年3月期の決算でみると、貸出金利は琉球銀が1.59%、沖縄銀が1.56%、沖縄海邦銀が2.00%に対して、鹿児島銀は1.08%と大きな差がある。こうした中、特に個人向けの住宅ローンに関して現地では挑戦的といえる低金利を提示している。「鹿児島銀は住宅ローンの固定金利で0.8%台を出しているのもある。とても追いつけない」。こんな悲鳴にも近い声が沖縄の銀行関係者から上がる。

 もちろん、金利さえ低ければ競争で勝てるとは限らない。

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