企業の外国人の受け入れはどこまで進んでいるのか。日本総研が今年実施した国内約1000社を対象としたアンケートでは外国人を採用・活用(直接雇用や派遣・請負など)している企業は45%に及んだ。
興味深いのはその理由だ。「日本人労働者が集まらない」(50.2%)が圧倒的に多いのは想定内。だがその次には「組織を活性化したい」(15.8%)、「外国人の方が真面目に働く」(13.1%)が続き、「労働コストが節約できる」(5.7%)を上回る。かつてのように「外国人=低賃金の労働力」と見なすのではなく、将来を担う人材と位置付けている。
国籍よりも実力。こうした考えは、成長に貪欲なスタートアップ企業のほうが鮮明だ。
エンジニアの7割が外国人

産業用ロボットの制御システムを手掛ける11年創業のMUJIN(ムジン、東京・墨田)。倉庫の自動化でアスクルと提携するなどAI(人工知能)を応用した制御で頭角を現した同社は、101人の社員の半数が18カ国からきた外国人。特にエンジニア部隊は7割近くが外国人で、公用語は基本的に英語だ。
外国人を積極採用したわけではなく、年齢や国籍に関係なく必要なスキルを持っているかや、会社のビジョンに合うかどうかで判断した結果という。待遇は国籍に関係なく実力で決まる。「日本人は転職やスタートアップで働くことへの抵抗が大きく、欲しい人が集まらない。創業時は知名度が低いこともあって日本人が来なかった」と同社の人事担当者は話す。社員や大学の研究室からの紹介などで優秀な外国人材を採用していった。
人手不足ニッポンの「救世主」としてあらゆる現場に広がる外国人。このままいけば、移民政策の国民的議論の決着を待たずして日本の人手不足がある程度解消できるのではないか──。そう思う人もいるかもしれない。
だがそう考えるのはまだ早い。世界で人材獲得競争が進む中、門戸を開けば来てくれる時代は過ぎ去りつつあるからだ。キャリアの将来像が見えにくい人事制度や国際的には高いとはいえない賃金など、水面下で不安や不満を抱く外国人材は多い。こうした課題に企業はどう向かい合うべきなのか。
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