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 しかし今や「外国人を戦力として考えないと(店が)成り立たない」(都内でローソン10店舗を経営する有限会社もとかわの元川寛都社長)。同社では100人以上の従業員のうち、8人いる正社員の半数が外国籍。アルバイトも7割が外国人で一部は店舗運営も担う。

 5万5000店舗以上を展開するコンビニ各社にとり人材確保は生命線だ。ローソン本部は「オープンケース(総菜陳列の冷蔵ケース)」など専門用語を翻訳したマニュアルを整備したほか、最新のPOS(販売時点情報管理)レジでは中国語にベトナム語、ネパール語で表示できるようにした。ベトナムや韓国では来日前の日本語教育や研修を実施する施設を持つ。

最強工場支える日系ブラジル人

日の丸交通で2018年9月からタクシー運転手として働くパキスタン人ムハンマド・リハン氏。同社の外国人運転手の平均売り上げは日本人より高い(写真=陶山 勉)

 介護や小売りで進む外国人の採用・活用は、これまで築いてきたサービス品質を維持するための「守り」の側面が色濃い。一方で、工場の増産や新規事業の創造など「攻め」でも外国人の力が欠かせなくなっている。

 外国人の増加率15.42%──。

 総務省が発表した人口動態調査で都道府県別で外国人の増加率が全国1位になったのが島根県。なかでも増加が顕著なのが出雲市で、1年前と比べ25%増の4667人となった。同県に住む外国人の半数以上を占める。

 その裏に、ある企業の存在がある。村田製作所の製造子会社、出雲村田製作所だ。村田の主力製品で世界シェア1位を誇る積層セラミックコンデンサーを生産する「最強工場」を、1000人規模の日系ブラジル人が支えている。

 村田製作所が契約する人材派遣会社が直接雇用している。スマートフォンや自動車向けの需要急増に合わせて新ラインが立ち上がるなど、ここ数年の増産に伴い日系ブラジル人の雇用も増えてきた。人口減を食い止めることは地方自治体にとっても喫緊の課題。通訳を介した子育て支援を進めるなど、出雲市も環境づくりを後押しする。

 ある大手化粧品メーカーの主力工場。完成品を検品したり、箱に詰めたりするラインには40人ほどのフィリピン人が並ぶ。日本人は10人程度で、現場では日本語とタガログ語が飛び交う。

 スタッフを派遣する人材大手ウィルグループ子会社のエフエージェイ(FAJ)の山口大輔・外国人推進部長は「これまで外国人が少なかった化粧品の工場からの要望が増えている」と話す。同社に登録する派遣スタッフは4200人。4年前の10倍以上になった。

 国内化粧品大手は訪日客や中国市場向けの「日本製」人気に対応しようと増産や新工場の建設に動いている。ただ化粧品は容器の形状や大きさもブランドごとに異なるため、検品や箱詰めは人手に頼らざるを得ない。新興国の人件費高騰も追い風となって国内回帰を進める「製造リショアリング」だが、現場では外国人に頼らなくては回らない実態が浮かび上がる。

日経ビジネス2019年8月19日号 26~31ページより