今、あらゆる現場で外国人労働者への「開国」が進み始めた。総務省が7月に発表した19年1月1日時点の人口動態調査。国内の日本人は前年より43万3239人少ない1億2477万6364人となった。減少は10年連続で、減少幅は1968年に調査を始めてから最大となった。2018年の出生数が92万1000人と3年連続で100万人を切るなど、少子化に歯止めがかからない。
世界4位の受け入れ国に
対照的に外国人は16万9543人増え、過去最多の266万7199人。日本全体では初めて外国人が2%を超えた。日本総合研究所の推計では、18年に146万人だった外国人労働者数は30年には最大で390万人まで増える見込み。女性や高齢者と並び、新たな働き手として欠かせない存在だ。
日本では「移民」という単語への抵抗感が強い。政府も新たな在留資格の導入などについて「移民政策ではない」との建前を崩さない。ただ国際的に見れば既に日本は「移民大国」だ。
経済協力開発機構(OECD)の調べによると、日本の年間の外国人受け入れ数(16年)はドイツ、米国、英国に次ぐ4位。カナダやオーストラリアなど移民で知られる国々をも上回る。

「人口が減る中、みんなの力がないとお店はやっていけません」。コンビニ大手ローソンが7月に都内で開いた「外国籍クルー育成講座」。講師を務めた東京運営部の松尾良トレーナーの話にネパールや中国から来日した5人の外国人アルバイトが耳を傾けていた。
ローソンでは採用間もない外国人アルバイトの育成や定着を目的に、定期的にこうした講座を開いている。「顧客の注文は繰り返す」、「カード決済の場合は精算の種類を確認する」。時間厳守や身だしなみといった文化の違いが表れやすい部分から、作業のミスを防ぐためのルールまで教え込む。

都市部ではコンビニの店頭で働く外国人の姿は珍しくない。ローソンで働く外国籍の従業員は7月時点で約1万3000人。2年で倍増した。東京都内はその3割近くを占め、23区では40%の従業員が外国籍だ。中国、ネパール、ベトナムの出身者が8割を占める。
日本人の学生などは深夜のアルバイトを敬遠する傾向にあり、外国人はコンビニの24時間営業を支える主力となっている。数年前までは外国人材の採用に慣れていなかったこともあり、「(フランチャイズの)オーナー側に外国人材を育成するという意識がなく、本部も支援できていなかった」(ローソン運営人財開発部の有元伸一部長)。そのため定着率が悪く、1~2カ月で4割が辞めてしまう時期もあったという。
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