全1944文字

米中は覇権国と新興国が戦争へと行きつく「トゥキディデスの罠」を回避できるのか。過去500年の事例を見ると、軍事衝突の可能性がないと言い切ることはできない。間に立つ日本はどうすべきか。まず自らの手で未来を切り開く気概が必要だ。

アテネとスパルタが戦争に至る経緯を記した歴史家のトゥキディデス。米中は「トゥキディデスの罠」を回避できるのか(写真=Eye Ubiquitous/Getty Images)

 米中は「トゥキディデスの罠」を回避することはできるのか──。米国と中国の貿易戦争が激しさを増すにつれ、こうした疑問を持つ人が増えている。

 トゥキディデスは古代ギリシャの歴史家。ギリシャの都市国家だったアテネとスパルタが戦ったペロポネソス戦争を『戦史』としてまとめた。これにちなんで、覇権国とそれに挑む新興国が折り合えないまま戦争に至ってしまうことをトゥキディデスの罠と呼ぶ。

 現時点で米中が軍事衝突にまで至ると考えている人はそれほど多くないかもしれない。だが、歴史をひもとくと不穏な未来に行きつく可能性があることが分かる。

 米ハーバード大学ベルファーセンターはトゥキディデスの罠についての研究結果を公表している。研究チームは15世紀のポルトガルとスペインの対立や17世紀後半から18世紀半ばのフランスと英国の対立など、過去500年間で覇権を握る勢力と新興勢力が対立した16の事例を分析。そのうち12のケースで戦争に至ったという。