全2877文字
中国で金融危機起きる可能性も
ケネス・ロゴフ氏
ハーバード大学教授、元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミスト。著書に『国家は破綻する』。
(写真=South China Morning Post/Getty Images)

 中国を米国が脅威に感じているのは今に始まったことではない。クリントン政権やオバマ政権でも中国の政策や体制を変えようと試みてきたがうまくいかなかった。そこでトランプ大統領が登場し、一連の政策を実施し始めた。表面化しただけであって、これは昔から両国が抱えてきた問題だ。

 過去にも日本やソビエト連邦(現ロシア)などと米国は対峙してきた。だが、中国がそれらの国と決定的に異なるのは、(資本主義的な共産主義という)全く新しい体制で急成長を遂げてきた点だ。

 米国が手あたり次第、急成長を遂げて自身の覇権を脅かすようになった国をたたいているかというと、そういうわけではない。正直、米国がたたいたからといって、その国が低迷するほど米国が力を持っているとは思わない。日本も1990年代以降、経済成長が止まっているが、それは米国からバッシングを受けたからというより、中国や韓国といった近隣の国が台頭してきたことで競争が激化したから、と見るのがフェアだ。もちろん、米国との貿易摩擦も一因ではあるだろう。

 米国が今後、どのように中国との競争に勝つかだが、いくつかのシナリオがあると思う。ここで一つ言えるのは、ほとんどの人が考えているほど中国は急に世界の大きな脅威にはならないということだ。どの国を見てもそうだが、日本や韓国など、一定レベルまで成長するとそれまでの勢いを維持することができなくなり、成長が鈍化する時期がやってくる。中国もそうなると考えるのが自然だ。

 また中国は急に成長してきたひずみから、どこかでファイナンシャルクライシス(金融危機)が起きないとも限らない。起きるとしたら、これからの20年から30年くらいの間だろう。