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市場の変化に負けず、不動の人気を保ち続ける定番商品。どうすれば生み出すことができ、その座を守り続けられるのだろうか。日本人の多くが知る8つの商品・サービスから、ヒントを探った。

 「定番商品を生み出す最大の秘訣は、これまでになかった新しい商品やサービスのカテゴリーを自ら作ることだ」。ジョンソンの「カビキラー」やハウスウェルネスフーズの「ウコンの力」など、数々のロングセラー商品の企画に加わってきた商品コンサルタントの梅澤伸嘉氏は話す。誰も手掛けたことのない商品やサービスを作り、客をつかめば、必然的にトップブランドとして認知される。後発が参入しても、先発優位を打ち崩すのは容易ではない。

 では、新しいカテゴリーの商品を生み出すにはどうすればよいのか。梅澤氏は、「消費者の何気ない『行動』に無数のヒントがある」という。

 それを実践したのが男性用化粧品大手のマンダム。顔や体の汚れを拭き取る洗顔ペーパーやボディペーパーの生みの親だ。顔用を1996年、体用を98年に発売した。化粧品大手各社が追随したが、約120億円の男性向け商品の国内市場(2018年)で「6~7割のシェアを握る」(同社)トップメーカーとして君臨する。

 新たな商品カテゴリーが生まれたのは、開発担当者の「観察眼」のたまものだった。飲食店のおしぼりで顔を拭く男性は多い。洗顔料を使う若い男性も増え始めた1990年代、生活者のちょっとした意識や行動の変化から、「どこでも手軽に顔や体をきれいにできる商品」という鉱脈を発見した。

 ひげに紙くずが残ったり、拭いている途中に紙がよれたりしないよう、100種類以上の素材を調べ、メッシュ地の不織布にたどり着いた。今では使用後に冷感を持続させるタイプなど20種類以上に製品群を広げ、業績を支える屋台骨に育っている。

日経ビジネス2019年7月22日号 40~43ページより