各社がオープンイノベーションに力を入れる背景には、自前主義では社会にインパクトを与えるようなイノベーションを生み出せないとの危機感がある。市場ニーズは目まぐるしく変わり、続々と新製品や新サービスが生まれる時代になった。デジタル技術の革新が業界の垣根を崩す。既存技術の延長線上ではもはや戦えない。しゃれた「箱もの」が増えるのは、それだけ産業界がイノベーションを渇望しているからだろう。

 自動車産業の盟主、トヨタ自動車も外部のAI(人工知能)研究者を招き入れたり、米シリコンバレーのIT(情報技術)スタートアップと連携したりしながら、来るべき自動運転の時代に備えようとしている。

 だが、日本ではまだまだ成功例は少ない。ノーベル賞受賞者の本庶佑・京都大学特別教授は「日本の大企業がここ数年のオープンイノベーションの取り組みで何かを生み出したかと言われると思いつかない」と断言する。

 詳しくはPART3を見ていただきたいが、本庶氏は共同研究の対価の配分を巡って小野薬品工業と対立する経緯を踏まえ、大企業による「下請けイジメの構図」が日本のオープンイノベーションを阻んでいるとみている。

 しゃれた「箱もの」は造った。出会いのイベントも用意した。でも、それだけでは成果は出せない。成功のためには考え直さなければならない点はいくらでもある。次章では成功に向けて動く企業の取り組みを具体的に見ていく。

日経ビジネス2019年7月15日号 26~27ページより

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