本誌指摘まで間違い気づかず

 日本の消費者や日本企業がそうした懸念を抱く可能性があることは、中国IT企業も理解している。

 アリババ傘下でクラウドサービスを手掛けるアリババクラウドの日本事業責任者、宋子カントリーマネジャーは、「日本に根差した企業として、地元企業の信頼を勝ち得ることが最も大切だ。データセンターは東京に設置し、日本の法律に従ってデータを取り扱っている」と強調する。

<span class="fontBold">アリババがクラウドサービスのために運営するデータセンターの内部。日本では東京に2カ所のデータセンターを構える</span>
アリババがクラウドサービスのために運営するデータセンターの内部。日本では東京に2カ所のデータセンターを構える
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 滴滴日本法人からは「中国当局にデータを提供することはない。データは中国以外で保管している」との文書回答を得た。

 もっとも、滴滴日本法人はiPhone向けのアプリ配信サービスで、「中国などの企業とデータを共有する可能性がある」とするオーストラリア法人の規約を記載していた。日本法人は本誌が指摘するまでこの事実に気づいていなかった。昨年9月のサービス開始以降、9カ月間にわたって間違った規約を載せていたことになる。

 中国のIT企業は、プライバシーの面で疑惑の目を向ける利用者や企業が存在するという現実を受け止め、正確かつ丁寧に説明することが求められる。

 中国国内では個人や公共の情報を手に入れやすい環境が整い、豊富なデータを使ったITサービスの「実験場」が各地に出現している。

 BATが生み出した技術やプラットフォームを活用して、さらに次の進化段階へ移行し始めた中国IT産業。その最前線に向かった。

日経ビジネス2019年7月1日号 30~33ページより

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