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社長の辞めさせ方を巡って株主と会社が対立するLIXILグループ。立ち上がった株主にトップの座を追われた例は実際に出てきている。株主が経営への関与を強める「株主ガバナンス」時代が日本でも本格的に幕を開ける。

(写真=Aaron Foster/Getty Images、Matthias Kulka/Getty Images)

 思うような結果を出せなければ、経営トップは株主からその結果責任を追及され、時にはその座から追放されてしまう。こうした究極の「株主ガバナンス」とも言える出来事は、すでに足元で起き始めている。

 舞台となったのは、愛知県小牧市に本社を置くジャスダック上場企業でインテリア専門商社の五洋インテックス。4月28日、株主によって同社の大脇功嗣社長は解任された。

 この日、東京都内で開かれたのは臨時株主総会だ。BTホールディングら複数の大株主が、大脇社長の取締役解任、新しい2人の取締役の選任、監査役1人の選任を求める株主提案を出していた。だが臨時株主総会の開催を会社側が拒否したため、株主提案を出した株主らが名古屋地方裁判所の許可を得て、自ら臨時株主総会を開いたというわけだ。

 LIXILグループでも、創業家出身の潮田洋一郎氏のガバナンスに問題があるとして、機関投資家が潮田氏らの解任を議案とした臨時株主総会の開催を請求したのはPART1でも触れた。だが、この時は潮田氏が先手を打って自ら取締役を辞任すると表明。肩透かしを食った格好の機関投資家側はやむなく臨時総会の開催を断念したが、五洋インテックスでは解任要求を受けた大脇氏が自ら身を引くことなく抵抗を続けたため、異例のことだが株主側主催で臨時総会が開かれた。

 株主らは創業一族でもある大脇社長が「在任する12期中、11期も連結損益計算書上、経常赤字を計上するという極めて異常な事態」を招いたことなどを解任の理由に挙げた。

 対する大脇社長ら会社側は「これは一部株主による会社の乗っ取りだ。株主提案の候補者にはインテリア業界の知見や経験がない」と反発。「経営陣を刷新し、医療ビジネスを含む新規事業を強化するという路線は株主の利益にならない。本業に集中すべき」と最後まで抵抗した。

 結果は、大脇氏を解任するという株主提案に82%もの賛成票が集まり、大差で可決された。業績不振に不満を持っていた株主がいかに多かったかが垣間見える。そして株主側が新たに取締役に提案した宮原雄一氏が現在、五洋インテックス社長の座に就いている。

 仮に大脇氏の主張するように乗っ取りであろうがそうでなかろうが、株主の多くはひとまず今の体制に「ノー」を突き付けた。「あれだけ長期の在任期間中にほとんど利益を上げられなかったのだから、株主ガバナンスの名の下、社長をクビになっても仕方がないよね」。株式市場関係者から、五洋インテックスと大脇氏に同情する声はほとんど聞こえてこない。

日経ビジネス2019年6月17日号 34~39ページより