LIXILグループの前CEO・瀬戸欣哉氏の「辞めさせ方」を巡って大騒動が巻き起こっている。昨秋、創業家2代目・潮田洋一郎氏が主導して瀬戸氏を解任。その経緯が問題視された。両氏の確執の源流はどこにあり、社内で何が起きていたのか。

「LIXILになってから、いいことがない。常にゴタゴタばかりだ」
5月31日、東京湾を望む大型ホテル「グランドニッコー東京 台場」の宴会場は緊張感に包まれた。住設・建材大手LIXILグループの代理店が一堂に会する年次大会。集まったのはトイレなど水回り製品を扱う代理店オーナーだ。
代理店会の会長が約200人の参加者を代表し、コーポレートガバナンス(企業統治)を巡る同社の混乱に不満をぶちまけた。原因は、潮田洋一郎会長兼CEO(最高経営責任者)と、潮田氏が昨秋CEOから解任した瀬戸欣哉氏の対立。怒りの言葉を浴びた山梨広一社長兼COO(最高執行責任者)は、厳しい表情でわびていたという。
その前週の23日、石川県金沢市の「ホテル日航金沢」ではサッシなど建材を扱う代理店の年次大会があった。そこでも微妙な空気が流れていた。
営業方針を説明したのは副社長の大坪一彦氏と、国内建材事業の責任者である吉田聡氏。大坪氏が強調した「シェア拡大」は潮田氏が瀬戸路線を否定するように掲げたものだ。一方、吉田氏が語ったのは利益重視の付加価値路線。瀬戸氏の経営方針の延長にある。
ある関係者は、「古くからのサッシの代理店にとって、吉田さんはある意味、裏切り者でしょう。これまでこの会社には、潮田体制にモノ申す人がほとんどいなかったから」と話す。
LIXILは、サッシなどを手掛ける旧トステムやトイレなどを扱う旧INAXなど住設5社が統合して2011年に誕生した会社が前身だ。旧INAX創業家の伊奈一族が経営への関与を薄める一方、旧トステム創業家2代目の潮田氏は絶大な権力を持ち続けてきた。その潮田氏が16年に“プロ経営者”として招聘したのが瀬戸氏だった。
潮田氏vs瀬戸氏。なぜ、LIXILのトップ人事を巡る対立が、得意先も巻き込んだ大騒動に発展したのか。確執の源流が、瀬戸氏の「辞めさせ方」だ。
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