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2019年3月期の売上高営業利益率は16.9%と、国内電子部品大手で断トツ。村田製作所は、なぜここまで同業他社との利益率の差を出せるのか。製造から開発まで現場を訪れると、4つの強さが見えてきた。

国内生産比率は約65%
●村田製作所の主な製造拠点
車載向けコンデンサーの主力工場である出雲村田製作所では自社開発の製造装置がずらりと並ぶ

 国内の電子部品大手の中では断トツの収益力を誇る村田製作所。なぜ、こんな高収益率を生み出せるのか。

 まず、挙げられるのは同社が得意とするセラミックコンデンサーという商品の特性にある。セラミックスは大ざっぱにいえば、土や石の粉末を用いて作る焼き物だ。その素材の選び方や配合の仕方、焼き方で、耐熱性や絶縁性、耐摩耗性などの特性も大きく変わる。

 村田製作所の創業者、村田昭氏は「ふしぎな石ころ」と称したが、その分、コンデンサーという電気をためる部品として安定的に生産することは難しい。電子機器に欠かせない汎用品でありながら、参入障壁は高いのだ。1944年の創業以来、こういうまねのしにくい部品に目をつけて商品化してきたことが村田製作所の1つ目の強さといえる。

 高い参入障壁をさらに高くすることも忘れない。その代表が「垂直統合」の考え方。素材から製造装置までを自前で手掛け、製造工程をブラックボックス化することで、他社が簡単にはまねできない仕組みを作り上げた。

 車載用コンデンサーの主力工場である出雲村田製作所(島根県出雲市)もそうだ。工場内に並ぶ装置はほぼすべて自社開発品。情報漏洩対策を徹底しており、撮影が許されたのは上の写真にある検査工程のみだ。

 48~51ページの編集長インタビューで、村田恒夫会長兼社長が語っているが、仮にこれらの装置が外部に流出し、他社がこの装置を使ってコンデンサーを作ったとしても村田製作所と同様のコンデンサーは作れない。例えば、焼成工程なら、焼き付ける温度をどう管理するかは現場の作業員しか分からないからだ。装置だけでなく、人にもノウハウをため込むことで、模倣を難しくしている。

日経ビジネス2019年6月3日号 36~41ページより