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村田製作所が強みを持つ電子部品はとにかく小さくて単価も安い。だが、ムラタの部品がなければ、電子機器を動かせないほど、同社製品のシェアは高い。高シェアを背景に利益率でも競合を圧倒。日本の電子部品業界をリードする。

売上高は右肩上がり
●村田製作所の連結業績推移
村田製作所の研究開発拠点である野洲事業所(滋賀県野洲市)には新型EVがバラバラにされた光景が広がる(写真=山本 尚侍)

 関西の水瓶、琵琶湖の南東部にある電子部品大手、村田製作所の野洲事業所(滋賀県野洲市)。同社の研究開発拠点の一角にある広さ90m2ほどの展示スペースに足を踏み入れると、フレームをあらわにしたクルマが目に飛び込んできた。ほんの数カ月前にはピカピカだった、米新興企業の高級EV(電気自動車)だ。

 村田製作所は今年1月から、このEVを分解し、搭載されている電子部品を一つひとつ数えていった。「クルマの進化を把握することで、部品の売り込み先を探ったり、生産計画を立てたりするため」。同社で技術開発を統括する岩坪浩常務執行役員は明かす。

 電気で走るEVだ。モーターやパワートレインなど、クルマの基本性能を満たす機器以外にも、先進運転支援システム(ADAS)やナビゲーションシステムなど、利便性を高める機器には多くの電子部品が搭載されている。

 3人のメンバーが数カ月かけて数え上げて、メンバー自身も驚く結果が出た。同社が得意な積層セラミックコンデンサーが1万個も使われていることが分かったのだ。

 1944年に故・村田昭氏が創業した村田製作所は一貫してコンデンサーを手掛けてきた。電源供給の安定化やノイズを除去する役割を果たすこの部品は戦後、ラジオの普及で需要が拡大。その後もテレビなどの家電やパソコン、スマートフォン(スマホ)と、搭載される電子機器が増えていった。

 電子機器の高性能化で必要になるコンデンサーの数も急増。携帯電話の中でもいわゆる「ガラケー」は1台当たり200個だったが、高級スマホは1000個。そして今後、普及が期待される高級EVではその10倍のコンデンサーが使われることになるわけだ。

 村田製作所はそんな電子機器の“隠れた基幹部品”で、世界シェア4割(金額ベース)を握るトップ企業だ。使われる場面が増えれば増えるほど、電子機器業界における村田製作所の存在感も高まっていく。

 コンデンサーに限らない。村田製作所が世界トップシェアを誇る部品は数多い(35ページ参照)。例えば、ノートパソコンなどで使われる外部からの衝撃・振動を検知するショックセンサーのシェアは95%に達する。家電、通信機、パソコン、自動車電装品などに搭載されるセラミック発振子と呼ばれる部品でも75%。携帯電話機などで使われるSAWフィルターや、近距離無線通信モジュールなど通信関連の部品も50%以上のシェアを持つ。これだけ幅広い製品を支えるとなれば、もはや電子機器は村田製作所の部品なしでは動かない、といっても過言ではない。

日経ビジネス2019年6月3日号 32~33ページより