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入り口で迷っている経営者

 世界では技術とビジネスを組み合わせて伸ばしていく筋道を競って見つけようとしている。しかし日本では経営者がディープラーニングを活用するかどうかという入り口で迷っている。

 大企業のなかにもセンスがいい経営者がいたり、底力があったりする企業もあるにはある。そうした企業では経営者がいい判断をし、ちゃんとディープラーニングの活用に取り組んでいる。

 ただ全体でみればごく一部で、むしろ日本ではスタートアップ企業のほうが有望だ。

 先日、高専(高等専門学校)のチームを対象とした、ディープラーニングとハードウエアを組み合わせたプロジェクトを競う大会があった。優勝チームには約4億円の評価が付き、すぐに4000万円投資しようという話になった。

 もはや、勉強もせず自ら動こうとしない企業の経営者に何を言ってもしょうがない。それよりも、やる気のある若い世代にチャンスを与えて、新しいことをやってちゃんともうけて会社を大きくしていけばいいのではないかと思う。やる気のある若い人にチャンスを与えたほうがましだ。(談)

「幻滅期」に突入へ 活用本番はこれから

 「お祭りの時期が終わる。本気ではなかった人が離れる今からが、地に足をつけて進む本番だ」。米調査会社ガートナー日本法人の亦賀忠明ディスティングイッシュトバイスプレジデントはこう指摘する。同社は2018年秋に「日本では19年以降、AIが幻滅期に入る」との予測を示した。

 ガートナーは「ハイプ・サイクル」と呼ぶ曲線で各種の先進技術の普及状況を表現する。認知が広がって徐々に期待度が上がり、過度な期待のピークを迎える。その後、期待度が急激に下がる幻滅期を経て、徐々に普及していくというパターンを模したものだ。

●ガートナーが分析した日本でのAIの期待度
出所:ガートナージャパン「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル」の2016年版、2017年版、2018年版

 幻滅期は「本当のことが分かっていなかった人が幻滅する時期のこと」(亦賀氏)。調査会社IDCジャパンはAIシステムへの世界の支出額が19年に358億ドル(約3兆9380億円)で、22年には792億ドル(約8兆7120億円)まで増えると予測する。AIに過度な期待をしていた時期は終わるが、投資は着実に増えていく。AIの現実と可能性を見極めた企業が本格的な活用で先行することになる。

日経ビジネス2019年5月20日号 26~27ページより