テクノロジーの力でヒトやモノの移動の利便性を高める「MaaS」が世界で広がっている。クルマや鉄道、バス、タクシー、シェア自転車など、あらゆる移動サービスを統合する動きだ。その波は日本にも押し寄せる。号砲を鳴らすのはトヨタ自動車とソフトバンクだ。

<span class="fontBold">タッグを組んだソフトバンクの孫正義会長(左)とトヨタ自動車の豊田章男社長(右)</span>(写真=Tomohiro Ohsumi/Getty Images)
タッグを組んだソフトバンクの孫正義会長(左)とトヨタ自動車の豊田章男社長(右)(写真=Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

 「自動車業界にとって、非常にオープンな形での第一歩になった」

 3月28日午後1時過ぎ、東京都港区にあるグランドハイアット東京の宴会場「グランドボールルーム」。会場を埋め尽くした聴衆を前にして、トヨタ自動車の豊田章男社長は胸を張った。背後のスクリーンに躍るのは、「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」の文字。トヨタとソフトバンクが昨年9月に共同設立した会社だ。

<span class="fontBold">愛知県豊田市小原地区の乗り合いタクシー向けにモネ・テクノロジーズが開発した乗車予約アプリ</span>(写真=早川 俊昭)
愛知県豊田市小原地区の乗り合いタクシー向けにモネ・テクノロジーズが開発した乗車予約アプリ(写真=早川 俊昭)
<span class="fontBold">東急電鉄やJR東が伊豆で行う実証実験。AI(人工知能)が乗り合い車両の最適なルートを導く</span>
東急電鉄やJR東が伊豆で行う実証実験。AI(人工知能)が乗り合い車両の最適なルートを導く

 モネは「日本発のMaaSのプラットフォームを作り上げる」(同社の宮川潤一社長=編集長インタビューに同氏のインタビュー記事)ことを目標に掲げる。MaaSとは英語のモビリティー・アズ・ア・サービスの頭文字を取ったもので、マースと読む。クルマや鉄道、バス、タクシーなど多様な交通手段を連携させて移動の利便性を高めるサービスを意味し、世界で起こりつつある「移動革命」の代名詞といえる。

 この日、会場を埋め尽くした聴衆は、モネが新たな事業戦略をお披露目するために全国から招いた企業や自治体の関係者だ。その数、およそ600人。関心の高さがうかがえる。

 豊田社長の言葉を継いでモネの宮川社長が発表した新戦略の内容は、これまでの常識を覆すものだった。日野自動車と共に、乗用車市場でトヨタと長年、競り合ってきたホンダがモネと資本・業務提携するというのだ。

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