一物一価は、供給者と消費者の双方にとって合理的な仕組みだった。しかし時代は進み、消費者の価格に関する意識も急速に変わりつつある。固定価格にしがみつく企業は淘汰される。そんな未来がすぐそこに迫っている。

販売価格を柔軟に動かすダイナミック・プライシング。本特集ではここまで、モノからサービスまで広範囲に拡大する新たな取り組みを、現代のイノベーションだと位置づけてきた。だが歴史を振り返れば「価格を動かさない」こともまた、商いの根幹を一変させたイノベーションだった。
その担い手となったのが、伊勢・松坂に生まれた商人、三井高利だ。延宝元年(1673年)、江戸・日本橋に間口9尺(2.7m)の店舗を借り、呉服店「越後屋」ののれんを掲げた。その後、三越へと発展するこの店が、今も流通史の教科書に残る、ある「発明」をする。
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