親北朝鮮だと反日になる
国民の心の奥底には65年以来、国のかたちがゆがんでいるという思いがある。請求権協定は本来有効だが、多くの韓国国民は自分たちが合意したと思っていないから、元徴用工訴訟で賠償を求める判決が出ても、ちゃぶ台返しになっているとは考えない。
文政権が国政の基本方針として掲げる北朝鮮との対話が進むほど、日本軽視に向かう側面も大きい。「我々が朝鮮半島問題の主役になった」と文氏は言う。有識者の多くは北朝鮮との関係強化が進めば、それだけ日本との関係改善への意欲が減退していくと見ている。
韓国外務省では日本語を学ぶ「ジャパンスクール」がかねて退潮しており、1月には政権内で数少ない知日派だった金顕哲(キム・ヒョンチョル)経済補佐官が失言により辞任した。文氏の対日姿勢を改める要因がどこにも見当たらなくなっている。
日本との関係を軽視し、北朝鮮への傾斜を強める韓国を、米国はどう見ているだろうか。トランプ大統領は米朝首脳会談をお膳立てした文大統領を好意的に感じているという有識者が多い。しかし、政権の高官たちが韓国を見る目は異なる。ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は「ワシントンはソウルが北朝鮮に極端に向かいすぎていると感じている」と話す。国連制裁の軽減を求める韓国政府は、北朝鮮の非核化が担保されないうちから「初期段階であまりに多くのベネフィットを与えようとしている」と映る。
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