文在寅政権の経済運営が行き詰まっている。最低賃金を引き上げた余波で雇用が安定せず、輸出も陰りが見える。若者の生活は厳しく、1を切った出生率は将来不安を増幅している。

<span class="fontBold">若者はロウソク集会と呼ばれる大規模デモをたびたび開いて政権への不満を訴えた(朴槿恵前大統領の退陣を求める集会、2016年11月)</span>(写真=Lee Jae-Won/アフロ)
若者はロウソク集会と呼ばれる大規模デモをたびたび開いて政権への不満を訴えた(朴槿恵前大統領の退陣を求める集会、2016年11月)(写真=Lee Jae-Won/アフロ)

 文在寅(ムン・ジェイン)政権発足から1年10カ月。アジア経済の専門家に文氏の経済運営を聞いてみると、政策効果を疑問視する声が相次いだ。

 「資産や所得の格差が広がって、経済成長では過去15年で見ても最も低い」(裵埈皓=ペ・ジュンホ=韓神大名誉教授)

 「低所得層の利益を重視しているが、関連政策の効果は期待外れのようだ」(戴二彪アジア成長研究所教授)

 潜在成長率が3%程度といわれるなか、実質GDP(国内総生産) 成長率は2018年に2.7%。19年も2.6%が予想されている。頼みの輸出も傾き、2月の輸出額は11.1%減と3カ月連続で前年同月を下回った。主要な輸出品である半導体の価格が低調なためだ。内需が小さいうえに輸出依存度(GDPに対する輸出額の比率)は38%(16年)と日本(13%)よりはるかに高く、輸出の不振は経済の循環を滞らせる。「18年末に韓国の景気は後退に転じた可能性がある」(大東文化大学の高安雄一教授)という見方が広がってきた。

正規と非正規の分断

 文政権は最低賃金を2年連続で10%以上引き上げた。これが逆に中小零細の雇用マインドを減退させている。雇用、若者重視という旗が色あせ、経済政策が対症療法だとの批判が強まる。今年2月、ソウルの街を歩くと不満の声が次々に耳に入ってきた。

 「大学院までいったのに就職口がないと泣きつく学生が近年、また増えてきた」。ソウル市の私立大学で昨年末まで語学講師をしていた朴愛京(パク・エギョン=仮名)さんは顔を曇らせる。この大学が特別なわけではなく、若年層の支持を得て当選したはずの文政権の下でも、若者の雇用は改善していない。韓国統計庁の調べでは15~29歳の若年失業率は18年で9.5%。統計区分は異なるが日本は同年、15~24歳が3.6%、25~34歳が3.4%と低く、大きな差が付いている。

 韓国は1997年の通貨危機を機に若者の失業率が12%程度に上昇。それ以後は7~8%程度が続いたが、2013年ごろから再び上がり始めた(次ページのグラフ参照)。職に就いても、その33~35%は非正規職という現実も03年以来続く。就職できる人とできない人、正規と非正規──。こうした分断が若者の間の深い溝になる。

 若者の高失業率の要因の一つは約7割もある大学進学率だ。「大半が卒業時に大企業を目指すため、雇用のミスマッチが生まれる」(安倍誠・JETRO・アジア経済研究所東アジア研究グループ長)ことになる。

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