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世界的に女性の地位向上が課題となる中、アフリカは女性の社会進出が進んでいる。女性労働者に占める起業家の比率で欧州や日本を大きく上回る国も。2020年に向けて女性活躍を打ち出している日本も、学ぶべき点がありそうだ。

エチオピア出身のベツレヘム・アレム氏は靴メーカーを起業し、多くの地元の人たちを雇用する(写真=永川 智子)

 女性の地位向上が世界的に大きな課題となっている。日本も女性の活躍を掲げ、政府は2020年までに各分野の指導的地位に占める女性の割合を30%にするとの目標を打ち出している。しかし、国際労働機関(ILO)の15年の調査によると、日本の女性管理職比率は11.1%。108カ国中96位と下位に沈んでいる。

 日本に比べると女性の社会進出が進んでいるように見える欧州でも18.6%、経済協力開発機構(OECD)加盟国全体でも16.9%にとどまる。

 これに対し、女性が活躍しているイメージがそれほどないアフリカでは、20位のガーナ(39.0%)を筆頭に、ボツワナ(38.6%)、ナミビア(36.0%)などの国が上位に位置している。実はアフリカは女性の活躍という観点で世界をリードする地域と言える。

 特に最近では女性の起業家がアフリカ各国で急増している。その象徴とも言える人物がエチオピアにいた。

 05年にエチオピアで靴メーカー、ソールレベルズを起業したベツレヘム・アレム氏。同社は世界中で年間7万足を販売し、これまでに累計で5000人を雇用した。

エチオピア
ベツレヘム・アレム
靴メーカー、カフェ
(写真=永川 智子)

 アレム氏は1980年にエチオピアの首都アディスアベバの貧困地区で生まれた。「父親がどんなに働いても、子供たちに十分な食べ物を与えらえるほどの賃金を得られなかった」。貧困からはい上がり、25歳の時に起業。「アフリカンドリーム」を実現した。

 起業のきっかけは、貧しい暮らしの中にあった。地元では拾った廃タイヤを靴底に利用している人たちがいた。また先祖代々伝わる、はた織りの技術もあった。アレム氏はこれらを結びつけるアイデアをひらめき、廃タイヤを靴底に使い、はた織りの技術でデザイン性を高めた靴の生産を始めた。

 当初は海外からエチオピアに旅行に来る外国人相手に細々と商売をしていたが、2000年代後半から会社の規模を大きくすることを目標に据え、海外市場に打って出た。だが、それまで海外でビジネスをした経験はなく、思うように売れない日々が続いた。「いつ破綻してもおかしくなかった。この頃が最も事業的にも厳しかった」とアレム氏は当時を振り返る。

 アレム氏を救ったのはインターネットだった。エチオピアでもネットの利用が広がり、海外のマーケティング手法などを知る機会ができた。そして「エコロジー」や「フェアトレード」が注目されていることをキャッチし、廃タイヤの活用などをアピール。エチオピア発のエコロジーでデザイン性に富んだ靴というこれまでにないジャンルを確立して、世界での販売につなげた。