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 「エンジニアを確保できた」。NECの前川健太郎・市場開発本部アフリカ事業開発室長は胸をなでおろす。空港などのテロ対策でアフリカでも高まるセキュリティ需要。指紋や顔認証など生体認証の技術で優位に立っていても、システムを作る人員がNECには圧倒的に足りなかった。

 そこで18年に、南アフリカ共和国のシステムインテグレーター、エクソンを子会社化した。数百人規模のエンジニアという足りないピースを、買収で埋めるという経営の基本戦略を採った。

 16年に完全子会社化した仏商社のCFAOと合わせるとアフリカ大陸に1万人以上の従業員を抱える豊田通商も戦略はとっぴではない。トヨタ自動車の製品の輸入はもちろん、2月上旬からはトヨタが提携するスズキ車の販売をケニアで開始。中古車販売や自動車修理のエンジニア育成のほか自動車以外の分野まで幅広く手掛ける。

 その豊田通商が次にケニアで仕掛けようとしているのが、自動車を購入した企業や公共団体などの顧客向けのサービス事業だ。「売って終わりにしない」。豊田通商イーストアフリカの久野豊樹社長はこう話す。

 対象はトヨタ車を大量に購入する大口顧客。豊田通商の修理拠点や人材を活用し、車両の日々の管理や点検、修理、ドライバーの教育などを一手に引き受ける。営業などに自動車を使う企業の場合、自社で修理拠点などを持つことが多いが、その維持費用を浮かし「本業に集中してもらう」(久野氏)。豊田通商にとっては、顧客と密なコミュニケーションを取り続けることができ、買い替えのタイミングを逃さなくなる。

 このビジネスモデルは、実は子会社化したCFAOが西アフリカで成功させたもの。仏商社のCFAOはフランス語圏の西アフリカに強かった。旧宗主国企業ならではの、現地に深く入り込んだサービスを取り入れ、英語圏の東アフリカの国々にも広げる狙いだ。

 ケニアのトラック市場で5割超のシェアを握るいすゞ自動車も顧客に寄り添うアプローチで市場を深掘りしようとしている。いすゞブランドのトラックは約40年間、米ゼネラル・モーターズ(GM)が生産・販売を手掛けていたが、17年2月にGMから株を買い取り、自社で輸入から販売まで一気通貫で手掛ける体制に生まれ変わった。

ケニアで過半のシェアを持ついすゞは顧客の声を直接聞いてアフリカ仕様のトラック開発を進める

 すぐに対応できない来店客には、対応できる目安の時間を伝えるなど、スタッフの対応もいすゞ流に変更。日本やドバイの開発担当者がケニアの顧客とともにトラックに乗り、吸い上げた要望などを製品に反映する取り組みも始めた。アフリカ仕様の製品は19年半ばから投入する計画だ。