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中国政府は「一帯一路」などを旗印に、アフリカの各国でインフラ整備などを進めてきた。だが、各国の間では中国の動きを警戒する向きも出てきている。インフラが整備され、ビジネス環境が整う状況は日本勢にとってむしろ好都合だ。

日本と中国の援助が入り乱れるモンバサ港(上)。ナイロビとモンバサを結ぶ旅客鉄道は快適だ(下左)。突如出てきた漢字の標識は中国を想起させる(下右)
 

 路上の標識には「stop」の文字とともに漢字の「停」が書かれていた。

 インド洋に面した東アフリカ最大の港、ケニア・モンバサ港。青いクレーンがずらりと並び、コンテナが積まれたヤードが広がる。ケニアのほかウガンダなど内陸国の入り口となる同港のコンテナ取扱高は、2002年から15年にかけ3倍以上に急増している。入り江の奥の最新のコンテナヤードの隣はさらに増設が予定されている。

 総事業費約420億円の増設工事の大半は豊田通商など日本勢が担う。埋め立てなどを経て三井造船製のコンテナクレーンが据え付けられる。資金は日本政府が国際協力機構(JICA)を通じた円借款でケニア港湾公社に供給する。

 一方、この埋め立て予定地の後ろには、まだ真新しい鉄道の線路がある。大量のコンテナを載せた貨物列車が出発を待ち、時折、ツバ広の帽子をかぶった東アジア系の顔立ちをした作業員がハンマーで車両や線路を点検している。

 首都ナイロビに続くこの鉄道を建設したのは、中国国有の中国交通建設集団(CCCC)だ。コンテナバースから約7km離れたモンバサの旅客駅のゴミ箱にも漢字が書かれ、改札の横には中国人とおぼしき職員が立つ。鉄道車両の内部にはケニアと中国の国旗がデザインされている。

 中国は2000年代の半ばごろから、アフリカとの経済的な結びつきを急速に強めてきた。直接投資の残高は16年に400億ドルに上った。18年9月には、習近平国家主席がさらに600億ドルを拠出すると表明。アフリカの国々をクルマで移動すると、あちらこちらで中国企業が作ったインフラを目にする。

 日本企業は建設のスピードや価格で中国企業に太刀打ちできないのが実情だ。日本政府が資金を拠出するインフラを、中国企業が落札するという事態も頻繁に生じた。

日経ビジネス2019年3月4日号 36~39ページより