全8262文字

 企業が荷主となる物流で、日本ではまず見られないような非効率がまかり通っているのだ。自社で物流部門を抱えていなければ、企業の担当者は倉庫などの拠点の外で待っているトラックのドライバーと行き先や価格について毎回交渉しなければならない。

 センディはトラックドライバーと荷主をつなぐプラットフォームを運営し、効率の良い物流とコスト低減を両立させている。いわばアフリカの「トラック版ウーバー」だ。14年の創業当初は、「ボダボダ」と呼ばれるバイクタクシーと、個人の荷物の配送をつなぐビジネスから始めたが、企業間物流の方が圧倒的に市場が大きいと気付き、17年に2~14トン、昨年末には28トンの大型トラックまでサービスを広げた。顧客である荷主が払う配送料は固定価格にしており、透明性を重視している。

Kobo360
トラックにセンサーを付けて道路状況を計測したり、ドライバーの行動を把握したりする技術の実装を検討している

 登録しているドライバー数は明かさないが、二輪車と合わせ、平均1日1000件がセンディ経由で配送されているという。顧客企業は英蘭ユニリーバなど5000社を超え、18年の成長率は平均で15%。国境を越えた物流にも需要があるため、19年はウガンダとタンザニア、ルワンダにも広げる。

 西アフリカの大国ナイジェリアでも同様のサービスが急速に普及している。

 米ペンシルベニア大学ウォートンスクールのMBAを修了し、ナイジェリアに戻ったオビ・オゾー氏。留学中に荷物を送った際、米国からナイジェリアの配送料より、ナイジェリア国内の配送料の方が高いことに衝撃を受けた。「これは問題だし、機会でもあると考えた」(オゾー氏)。帰国し、16年に米ウーバー・テクノロジーズのナイジェリア法人の立ち上げに参画。その後退社し、17年にラゴスでKobo360を立ち上げた。

 顧客は自分のページで「どこから」「どこまで」「いつ」「何を」「何トン分」運びたいかを入力。すると、登録しているドライバー用のアプリにその情報と、需給に応じて計算された価格が表示され、ドライバーが手を挙げれば決まる仕組みだ。マッチングにかかる時間は平均10分。早ければ4時間後に配車される。

 「Koboが始まる前は、ファクスや電話で何度もやり取りし、3日前に手配していても当日に『町に戻れない』などというドライバーがいた」(オゾー氏)。Koboだとドライバーが評価されるため、そうした事態は起こりにくい。創業1年で、早くも米ハネウェルなどの大企業の顧客を獲得し、昨年600万ドル(約6億6000万円)を調達。運送データをAI(人口知能)で解析するための研究開発費に充てる計画だ。

低い農業生産性

 「農業に投資したいと考える中間層がたくさんいる」。ラゴスのスタートアップ、Farmcrowdy(ファームクラウディ)のCEO(最高経営責任者)、オニェカ・アクマー氏はこの中間層の意欲をどうにか形にしたいと考えていた。

Farmcrowdy
オニェカ・アクマー氏は農業クラウドファンディングのプラットフォーム、ファームクラウディを創業。ナイジェリアから近隣のガーナなどにも進出する計画だ

 アクマー氏が同社を設立した3カ月前の16年6月、ナイジェリアは通貨ナイラのドルペッグ制をやめ、変動相場制に移行した。実質的な切り下げで、通貨価値は6割まで暴落。輸入に頼る食糧を確保できるのかという危機感が、中間層の投資意欲の背景にあった。

 一方でナイジェリアの農業は、小さな農家がそれぞれで生産している状態。そのままでは生産性は上がらない。アクマー氏は起業により、この2つの課題を一気に解決しようとした。

 まず投資意欲のある個人から、クラウドファンディングで資金を集める。その資金で肥料や種子など、農業に必要な資材を購入。一方で作物の買い手と、作り手である小規模農家をあらかじめ見つけておき、調達した資材を提供して農家に栽培してもらう。