リングの求道者

中邑真輔

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(写真=©2019 WWE,Inc.All Right Reservrd)
(写真=©2019 WWE,Inc.All Right Reservrd)

 世界最大のプロレス団体である米WWE。強烈なレスラーの個性とストーリー仕立ての試合が多くの人をとりこにしている。番組は20言語、180カ国以上で放送され、全世界で数億人が視聴している。この世界最高峰のプロレスで日本人選手が躍動している。

 中邑真輔。昨年、彼はプロレス界の頂点に手をかけた。2018年1月に開催されたWWEの四大特番で優勝。同年4月にニューオーリンズで開催されたビッグイベント「レッスルマニア」の王座戦の挑戦権を得た。レッスルマニアはプロレス界で世界最大の祭典。その頂点を決める王座戦に初めて日本人が出場する快挙を成し遂げた。

 真っ赤なコスチュームを身にまとった中邑が女性ギタリストを引き連れて入場すると、会場からは大歓声が巻き起こった。「あれは気持ちが良かった。今年のレッスルマニアでは一番いいシーンだという自信がありますもん」

 だが王座戦には敗北。さらに歓声を受ける正統派レスラーから、ブーイングを浴びるヒール(悪役)に転向した。

 WWEの試合にはストーリーがあり、各レスラーの役割も団体側の意向に左右される。中邑は17年4月にWWEに参戦してから、日本人レスラーとしては珍しく正統派として米国のファンに支持され、最高峰の試合を任されるところまで上り詰めた。だが、ここへ来て違う役割での活躍を求められている。

 レッスルマニアの王座戦での敗北後もWWEの最前線で活躍しているが、18年前半の注目度に比べれば足踏み状態にある。単にいい試合をして勝利すればいいというわけではないのが、WWEの難しさだ。

 中邑自身にもまだ達成感はない。プロレスに対する中邑のモチベーションは見る側にインスピレーションを与えること。いいにしろ悪いにしろ、自分が取った行動に対して観客が反応した時が最大の喜びだという。「趣味の絵と同じ。よく分からないけど感動する。そういうものに自分のプロレスを近づけていきたい」

 プロレスの実力に加え、表現力も折り紙付き。正統派であれ、悪役であれ、世界中のプロレスファンを引きつける活躍ができることは間違いない。

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