日本流の福利厚生に鉱脈

福山太郎

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(写真= 北山 宏一)
(写真= 北山 宏一)

 米国で企業の福利厚生代行サービスを手掛ける。福利厚生の代行は日本では一般的だが、米国では企業が自社で手掛けることが多い。起業当初の顧客はベンチャー企業が中心だったが、福利厚生の充実で社員の定着率を上げられることから、最近では従業員数1000人以上の大企業も増えてきた。福山は「この市場で世界一の会社になりたい」と夢を語る。

 高校時代に米ミズーリ州での1年間の交換留学プログラムに参加した。「日本のアニメやゲームの話で人気者になれると思ったら、いじめられた」。見返してやりたい。その思いから、いつか米国で挑戦すると決めた。

 日本で大学を卒業し、1年間シンガポールのIT企業で働いた後、渡米。SNS(交流サイト)を使ったコミュニティービジネスでの起業を目指し、100人の投資家に会ったが、資金は1ドルも集まらなかった。最後の記念にと参加したイベントで出会ったのが、米国のスタートアップ養成機関「Yコンビネーター(YC)」の創設者だった。「投資をしてくれ」と駆け寄った熱意が認められ、YCに入った。

 だが入って3日後に挫折を味わう。「今のビジネスモデルでは、君たちが成功する確率はゼロ」。結局、YCでは7回もビジネスモデルの見直しを迫られた。日本人らしさとYC卒業生が悩む社員の定着率にフォーカスした結果、行き着いたのが福利厚生だった。

 「日本人なら、言葉も分かるし、知り合いもいる日本でやるほうが合理的」。それでも米国にこだわったのは自らの「want」に向き合ったからだという。「日本は『can』の発想で動く人が多いと思う。何ができるかではなく、何がしたいかが重要」。その思いを胸に、夢の実現を目指す。

ドローン測量で異国に飛ぶ

徳重 徹

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(写真= 北山 宏一)
(写真= 北山 宏一)

 「日本発のグローバルベンチャーを目指す」。これがテラドローンの徳重徹が掲げている単純かつ明快な目標だ。

 徳重は2010年にテラモーターズを設立し、電動バイクをインドやバングラデシュなど8カ国で販売してきた。ただアジアの数カ国だけで展開する事業には満足できなかった。

 「かつてのソニーのようにもう一度日本企業の実力を世界に見せつけたい」

 目を付けたのが小型無人機(ドローン)を使った測量事業だ。黎明期の分野なら、世界でトップシェアを取れると考えた。早速、技術者を探し、高精度の測量ができるドローンを開発。日本と海外でほぼ同時に事業を開始した。

 ただ、なかなか軌道に乗らない。ドローンによる測量が威力を発揮する資源開発分野に狙いを定め、まずはオーストラリアに進出。ただ、保守的な業界は日本からの新参者を受け入れなかった。現地でシェアを持つローカルの企業と手を組む方針に転換したが、それでも首を縦に振らない企業がほとんどだった。

 異国の企業が突然やってきて、「株を売ってくれ」と言っても相手にされないのは当然かもしれない。しかし、徳重は持ち前の粘り強さでトップ営業を繰り返した。語り続けたのは、技術の強みに加え、加速度的に成長させるという自らの決意だ。

 すると、最初は聞く耳を持たなかった現地の経営者たちが、熱意にほだされるかのように次第に心を開いていった。気付けば、約3年で30カ国に展開するまで事業が進んでいた。

 今も徳重は月の半分は海外にいる。新たに訪れる国では、いつものように相手にされない。しかし、徳重は確信している。すぐに相手は心を開くと。

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