2020年6月8日号
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prologue
コロナ禍で問われる東大の役割
加賀藩をはじめ、有力藩主の江戸屋敷の跡地にある東京大学・本郷キャンパス。東京ドーム10個分の広さの敷地には大学の象徴である安田講堂がそびえ、ゴシック様式の重厚な建造物が立ち並ぶ。その学び舎からは官民に数多の有為な人材が巣立った。
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PART1
五神真総長が目指す東大、「社会転換の駆動役になる」
「知識集約型社会」への転換を掲げ、東大が積極的な動きに出ている。財政難から大学の危機が叫ばれる中、大型の大学債発行を計画。資金面でも攻めに。産・官・民との連携も深化させ、新たな大学像をつくり始めた。(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)
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PART2
ソフトバンク、ダイキン、IBM──、東大の産学連携は異次元に
ソフトバンク、ダイキン工業、米IBM──。東大は大手企業との産学連携を推し進める。背景にあるのは、「自ら『経営体』にならなければならない」との危機感だ。トップである総長自らが奔走する姿に、企業側も「東大は本気だ」と見方を変え始めた。
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PART3
東大の起業ラッシュは本物か、大学発ベンチャー数日本一の実力
起業家支援のエコシステムを約15年間かけて整え、今では日本一のベンチャー輩出校だ。官庁や大企業に幹部候補を送り出してきた東大のイメージとは異なる動きが加速している。新型コロナ危機による低迷を打破する起爆剤となれるか。これから真価が問われる。
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PART4
スタンフォード大の年間予算は1兆円超、資金獲得に戦略はあるか
良質な研究環境を確保するには潤沢な予算が必要だ。だが、国の財政悪化で日本の大学は資金確保に汲々としている。押し寄せる「アカデミック・キャピタリズム」の波に、どう抗っていけばいいのか。
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データで見る東京大学 課題は「お金」以外にも
日本の大学の課題として挙げられるのは資金調達力だけではない。上で示しているのは英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの「THE世界大学ランキング」(2020年)の順位とスコアだ。
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PART5
日本電産永守氏はなぜ大学改革を始めたのか 激化する生き残り競争
東大以外でも改革は進む。人口減とグローバル化、技術進化がそれを促す。日本電産の永守重信会長CEOは私費100億円を投じて独自の改革に挑む。国立、私立とも、もはや生存競争の時代。だが改革次第で大学の評価も高まる。
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epilogue
日本の大学の停滞は打破できるのか 各界有識者が語る復活の処方箋
私が文部大臣のときに方向性を決めたのが、国立大学の法人化だった。法人化を決めたのは、大学の自主性が生まれるなどの効果が見込めたためだが、実際は、運営費交付金が毎年減らされ、若手研究者の大幅な削減につながってしまった。