サイバーエージェント(CA)のインターネットTV「ABEMA(アベマ)」が米ネットフリックスと番組提供で提携した。ABEMAの運営会社は番組調達費用などの売上原価が売上高を上回る状況が続き、1100億円超の債務超過だ。親会社であるCAの資金力も無尽蔵ではない今、収益構造の変革が急務だ。

(写真=當舎慎悟/アフロ)
(写真=當舎慎悟/アフロ)
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 サッカーワールドカップ(W杯)の放映権を取得して一躍話題になったアベマ。ただ、先行投資の代償は大きい。運営会社であるAbemaTVの決算公告を見ると、単体の売上高は2022年9月期通期で365億円だが、原価率は104.5%と売上高を上回る。さらに96億円の販管費がのしかかり113億円の営業損失を計上している。確認できた営業損失は4期連続で、AbemaTVは22年9月末時点で1111億円もの債務超過の状態にある。

 CAは損失の続くAbemaTVを資金的に支えてきた。決算資料を総合すると、AbemaTVには22年9月末に固定負債が1168億円あり、CAが同額を貸し付けている。テレビ朝日もAbemaTVに約37%を出資するが、資金面でのサポートはCAが中心のようだ。引き受けた巨額の債務は回収可能なのか。CAは21年9月期単体決算でAbemaTVへ900億円の貸倒引当金を計上している。連結決算上は相殺されるものの、CA単体としての特別損失となった。

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