三井住友銀行は2023年4月に入行する新卒の初任給を5万円引き上げる方針を決めた。そこには高騰する物価対策よりも、優秀な若手の銀行離れを食い止める思惑が色濃くにじむ。その支えになるのは、やはり日銀の政策転換のようだ。

三井住友銀行は福留朗裕次期頭取(左)体制で給与増を図る(写真=共同通信)
三井住友銀行は福留朗裕次期頭取(左)体制で給与増を図る(写真=共同通信)

 「いまだ見たことがない世界がやってくるかもしれない」──。三井住友銀行で営業を担当する40代の男性社員は、こう胸を躍らせる。今春入行する新卒組の初任給が大幅に上がる見通しになったことで、基本給を一律に引き上げるベースアップも連動する展開が現実味を帯びてきたからだ。

 労働組合との折衝が順調に進めば、新卒初任給は大卒で20万5000円が25万5000円、大学院卒業だと23万円が28万円になる。2007年に17万4000円から現在の水準に引き上げて以降、実に16年ぶりの上昇だ。三菱UFJ銀行とみずほ銀行も横並びを強く意識しており、タイミングが遅れても追随する方向で検討に入った。

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